採用活動で最も重視される項目の一つが「給与」です。
しかし実際の現場では「総支給額だけ書けば良いのでは?」「基本給や手当の内訳まで書く必要はあるのか?」と迷う企業がまだ多くあります。
加えて最近は、求職者から「将来どれくらい給与が上がる職場なのか知りたい」というニーズが増え、年収モデルの提示が効果的といわれています。
この記事では、求人票にどこまで給与情報を書くべきか、そしてなぜ“内訳”と“将来年収”の明示が採用力向上につながるのかをわかりやすく解説します。
結論として、求人票には総額だけでなく、基本給と各手当を分けて記載することが極めて重要です。
内訳が見えないと、「固定給がいくらなのか」「手当で水増ししていないか」といった不安を招き、応募につながりにくくなります。
さらに、初年度の年収レンジに加え、3年後・5年後の想定年収を示すことで、「この会社で働き続けた場合の生活イメージ」が具体化し、応募率が高まります。
目次
1. なぜ給与の内訳を明確にする必要があるのか
給与総額だけでは実態が伝わらず、求職者は比較検討しづらくなります。特に注意すべきポイントは次のとおりです。
① 基本給が不明だと将来昇給が想像できない
基本給が低く手当が多い構成は、昇給しにくい印象を与えがちです。
② 固定と変動の違いで生活の安定度が変わる
残業込みで高く見える求人は敬遠されやすくなっています。
③ 他社との比較材料として内訳は不可欠
透明性の高い企業のほうが信頼され、応募に進みやすい傾向があります。
したがって、
・基本給
・固定手当(例:役職手当、資格手当、通勤手当)
・変動手当(例:残業手当、業績連動給)
を明確に区分して書くことが必要です。
2. よくある誤解:内訳を書くと不利になる
「内訳を細かく書くと給与が低く見えるのでは?」と思う企業もありますが、実際は逆です。
透明性の低い求人は“何か隠しているのでは”と疑われ、応募率が低下します。
また、年収モデルを提示することで、
・キャリアアップでどれだけ伸びるかが見える
・給与が頭打ちではない印象を与えられる
・将来設計を重視する層が応募しやすくなる
といったメリットが生まれます。
3. 実務での注意点:根拠のない年収モデルは逆効果
将来年収を示すこと自体は効果的ですが、数字に根拠がないと信用を損ないます。特に以下の点に注意が必要です。
- 過去の昇給実績を元にモデル年収を設定する
- 「入社3年目・一般職」「入社5年目・主任」など具体的な例を提示する
- 年収は“幅(例:380〜420万円)”で現実的に示す
- 達成条件や評価基準を曖昧にしない
- 現場にいないと達成できないような極端なモデルは使わない
このように、誠実な情報提供が応募者の安心感につながります。
まとめ:給与の見える化は信頼につながり、応募率を大きく左右する
求人票の給与情報は、基本給と手当の内訳まで丁寧に示し、さらに将来の年収モデルも提示することで、応募者に「この会社で働くイメージ」を与えることができます。
中小企業こそ、給与の透明性を高めることで、ミスマッチを減らし、応募の質と量を向上させることが可能です。
給与の書き方ひとつが、採用結果を大きく変えるポイントになります。
筆者プロフィール
泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2025年現在、延べ100社以上の中小企業を支援。
採用・定着・労務に関する相談は累計2,000件超。
徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。
*姫路播州採用定着研究所
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