生成AIを使って新商品や新サービスのアイデア出しをしようとして、「それっぽい案は出るけど、使えない」「結局ありきたりになる」と感じたことはないでしょうか。
この原因の多くは、AIの性能ではなく「プロンプト(指示文)の出し方」にあります。特に、企画専任がいない会社では、AIにどう頼ればいいのか分からず、期待外れで終わりがちです。ここでは、実務で使えるアイデアを引き出すための、現実的なプロンプトの作り方を整理します。
目次
結論:良いプロンプトは「制約」と「前提」を先に与えている
生成AIでアイデアを出すときに重要なのは、自由に考えさせることではありません。
前提条件・制約・現実の事情を先に渡すことが、有効なアイデアを引き出す最大のポイントです。
「何か新しいアイデアを出して」ではなく、
「この条件の中で、実行できそうな案を出して」
という頼み方に変えるだけで、出てくる内容は大きく変わります。
うまくいかないプロンプトの典型例
まず、アイデアが浅くなりやすいプロンプトの例です。
・「新しいサービスのアイデアを出してください」
・「今までにない商品を考えてください」
・「画期的なビジネスモデルを提案してください」
これらは一見良さそうですが、
・業界が分からない
・制約がない
・実行主体が見えない
ため、AIは無難で抽象的な案しか出せません。
AIが本気を出せない指示文、と言ってもいい状態です。
有効なプロンプトを作る基本構造
実務で使えるプロンプトは、次の4点を含めるのが基本です。
1. 前提(誰が・どんな立場で)
2. 対象(誰の、どんな困りごとか)
3. 制約(使えるリソース・できないこと)
4. ゴール(どのレベルの案が欲しいか)
これを文章にすると、「条件付きの依頼」になります。
例:プロンプトの改善イメージ
悪い例:
「新サービスのアイデアを出してください」
改善例:
「既存顧客からよく聞く“手間がかかる”という不満を解消するために、
新しいサービス案を3つ出してください。
・新しい設備投資はできない
・既存スタッフで運用できる
・月額課金にしやすい形
この条件を前提に考えてください。」
このようにすると、
「面白いけど無理」な案ではなく、
「検討に値する案」が出やすくなります。
アイデアの質を上げるためのプロンプトの工夫
さらに一歩踏み込むなら、次の視点を加えると効果的です。
・「既存業務の延長でできる形に限定する」
・「今すでにやっていることを少し変える前提で」
・「失敗しにくい案を優先して」
・「まずは小さく試せる形で」
生成AIは、壮大なアイデアよりも「条件付きの改善案」を出すほうが得意です。
たとえば、
「既存の商品やサービスを“少し不便な人向け”に調整する案を出して」
といった指示は、現場感のあるアイデアにつながりやすくなります。
音声入力を使うと、プロンプトの質が上がる
実は、プロンプト作成はキーボードで考えるより、声に出したほうがうまくいくことが多くあります。
・「最近お客さんからよく言われるのは…」
・「正直ここが大変で…」
・「ここは変えられないんだけど…」
こうした“ぼやき”や“本音”をそのまま音声入力し、
「この内容を前提条件として整理して」とAIに頼むと、
自然で現実的なプロンプトに変換しやすくなります。
考える→書く、ではなく、
話す→整理させる、という順番のほうが実務向きです。
アイデア出しでよくある失敗
生成AIを使ったアイデア出しで、よくある失敗は次の通りです。
・一発で完璧な案を求める
・抽象的なまま評価してしまう
・「面白いかどうか」だけで判断する
AIのアイデアは、
「叩き台 → 修正 → 条件追加 → 再出力」
を前提に使うと、実用度が上がります。
最初から完成度を求めないことが、結果的に近道です。
まとめ:良いプロンプトは「現場の制約」を正直に渡している
生成AIで新商品・新サービスのアイデアを出すとき、
鍵になるのは発想力ではなく、前提条件の出し方です。
・誰向けか
・何が課題か
・何ができて、何ができないか
・どのレベルの案が欲しいか
これを具体的に伝えるほど、AIは“使える案”を返してきます。
生成AIは魔法のアイデア製造機ではなく、
現実を整理してくれる相棒として使うのが、最も成果につながる使い方です。
筆者プロフィール
泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー
姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。
「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。
支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。
生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。

