中小企業の約70%が生成AIを使うのに、社内ルールは約10%|姫路の生成AIアドバイザーが伝える、社員が勝手に使い始める前に会社が決めておくこと

中小企業の約70%が生成AIを使うのに、社内ルールは約10%|姫路の生成AIアドバイザーが伝える、社員が勝手に使い始める前に会社が決めておくこと

2026年10月1日、中小企業総合研究所(株式会社エフアンドエム)が、中小企業の生成AI活用に関する調査結果を公表しました。2,503社の回答のうち、約70%の中小企業が、すでに業務で生成AIを使っています。ところが、社内ルールを整備している会社は、全体の約10%にとどまりました。ほぼ毎日使う会社に限っても、ルールがあるのは約4社に1社です。

社内ルールのないまま、社員が生成AIを使っている会社が、たくさんあるということです。社員に悪気がなくても、取引先の情報や社員の個人情報を、そのまま無料のAIに入力してしまうことがあります。

今日は、社員が勝手に使い始める前に、会社が決めておくことについて書きます。


目次

  1. ニュースの概要
  2. 生成AIは、会社が契約した有料プランに限り、学習させない設定まで確認する
  3. 使うアカウントとツールは、会社が決める
  4. 社員が入力してはいけない情報を決める
  5. 生成AIに任せてよい業務と、任せてはいけない業務を決める
  6. 生成AIの出力は、必ず人が確認してから使う
  7. よくある質問
  8. まとめ

ニュースの概要

調査は2026年7月に行われ、有効回答は2,503社でした。約70%の中小企業が業務で生成AIを使っていて、使い方で最も多いのは「月に数回、必要なときだけ」のスポット利用です。ほぼ毎日使う会社は約20%で、そのうち約70%が有料プランを使っています。

使い道は、メールや報告書の作成が60%を超え、経営判断の参考や相談にも約50%の会社が使っています。

一方で、実感している課題の上位には、情報漏えいや著作権のリスク、出力内容の確認・修正の手間が挙がっています。それでも、社内ルールを整備している会社は全体の約10%にとどまります。リスクを感じる会社は多いのに、社内ルールを整えた会社は少ないのが現状です。


生成AIは、会社が契約した有料プランに限り、学習させない設定まで確認する

最初に決めてほしいのは、業務で使う生成AIは、原則として有料プランにすることです。無料の生成AIは、入力した内容がAIの学習に使われることがあります。入力した内容は、サービスを提供する会社に保存されます。学習に使われれば、ほかの人への回答に出てしまうおそれもあり、情報が外に出るリスクが高まります。取引先の情報や社員の個人情報を入力するのであれば、なおさらです。無料の生成AIを業務で使わせない、これが社内ルールの出発点です。

ただし、「有料プランにすれば安心」とまでは言えません。個人向けの有料プランでは、入力した内容を学習に使うかどうかが、利用者の設定によって変わるサービスがあります。しかも、社員が自分で契約した個人向けのプランでは、その設定がどうなっているのか、会社は確認しにくくなります。

そこで、プランについて次の2つを決めてください。

  1. 会社が契約したプランだけを使う。社員が自分で契約した個人のプランは、業務では使わない
  2. 契約する前に、入力した内容が学習に使われるかどうかを、サービスを提供している会社の公式の説明で確認する。法人向けのプランには、入力内容を学習に使わないと説明しているものがあります

取引先の情報が外に出たときの信用の損失と比べれば、有料プランの料金は、設定と契約内容を確認したうえで払う、情報を守るためのお金です。


使うアカウントとツールは、会社が決める

次に決めるのは、どのツールを、誰のアカウントで使うかです。社員が自分で選んで、自分のメールアドレスで登録した生成AIを業務に使い始めると、会社はどこに何を入力したのかを把握できません。会社が契約したツールを、会社のアカウントで使う。これをルールにしてください。

会社のアカウントなら、退職した社員の過去のやり取りや作ったデータを、会社が引き継げます。個人のアカウントで使っていた場合、退職後も、業務で作ったものが個人のアカウントに残り、会社が引き継げません。

また、最近は、文書作成アプリやブラウザの拡張機能に、生成AIが自動で組み込まれることがあります。社員が知らないうちに、AIの機能を使っているケースもあります。新しいツールや機能を使いたいときは、勝手に使い始めず、上司に申請して会社が許可したものだけを使う、と決めておくと安心です。


社員が入力してはいけない情報を決める

プランとアカウントを決めても、入力する内容によっては、情報が外に出るリスクがあります。入力してはいけない情報は、会社が先に決めて、書面にして社員に伝えてください。社員の判断に任せると、「これくらいなら大丈夫」が少しずつ広がります。入力してはいけない情報は、たとえば次の4種類です。

  1. 個人情報:社員や応募者の氏名・住所・生年月日・履歴書、顧客や患者の情報、給与のデータなど
  2. 取引先の情報:契約の内容、見積書、取引先から預かった資料、取引先が公開していない情報など
  3. 自社の機密情報:未公開の財務の数字、経営計画、開発中の製品や価格の情報など
  4. ログインに関わる情報:パスワード、IDなど

迷ったときのルールも決めておきます。たとえば、「迷ったら入力せず、上司に確認する」です。名前や会社名を伏せれば入力してよいのかどうか、よい場合はどこまで伏せるのかも、あわせて決めておくと、社員が判断しやすくなります。


生成AIに任せてよい業務と、任せてはいけない業務を決める

どの業務に使ってよいのかも、会社が決めておきます。調査では、生成AIを導入していない会社や利用をやめた会社が挙げた最大の理由は、どの業務に使えばよいかイメージが湧かない、というものでした。使ってよい業務を示すと、社員は使いやすくなります。

任せてよい業務は、たとえば、メールや報告書の下書き、議事録のたたき台、文章の要約、アイデアを出す作業などです。いずれも、最後に人が内容を確認して直す前提で使います。

一方、任せてはいけない業務もあります。採用・評価・昇給・解雇など、人の人生に関わる判断を、生成AIの答えだけで決めてはいけません。生成AIは、もっともらしい文章で答えますが、その人の事情や、現場の背景を知っているわけではないからです。法律・税金・労務の最終判断も、専門家に確認してから決めます。


生成AIの出力は、必ず人が確認してから使う

最後に、生成AIが作ったものを、そのまま社外に出さないというルールです。生成AIは、事実とは違う内容を、自然な文章で書くことがあります。また、他人が作った文章や画像とよく似たものを出すこともあり、著作権の問題になることがあります。調査でも、実感している課題の上位に、著作権のリスクと出力内容の確認・修正の手間が挙がっています。

確認するときは、次の点を見ます。

  • 数字・日付・固有名詞が正しいか(元の資料や公式の情報で確かめる)
  • 法律や制度の説明が、最新の内容になっているか
  • 他人の文章や画像と、似すぎていないか

取引先や社外に出す文書は、必ず担当の社員が目を通してから送ることを、ルールにしてください。誰が確認したかを残しておくと、間違いがあったときに原因をたどれます。


よくある質問

Q. 生成AIの社内ルールは、就業規則に書く必要がありますか?

A. 就業規則の本体に、細かい内容まで書く必要はありません。「生成AI利用ルール」のような別の文書にまとめるほうが、見直しやすくなります。ただし、ルール違反で懲戒処分をする可能性があるなら、就業規則の服務規律や懲戒の定めに、その根拠を書いておく必要があります。たとえば、「会社が定める情報管理に関するルールに違反したとき」を、懲戒の対象として書いておく方法があります。常時10人以上の社員がいる会社は、就業規則の作成が義務です。10人未満の会社でも、就業規則に書いておくと、処分の根拠を示しやすくなります。

Q. 社員が個人の無料アカウントで、取引先の情報を入力していたことが分かりました。どうすればいいですか?

A. まず、その社員を責める前に、何を、いつ、どれくらい入力したのかを確認してください。個人情報や取引先から預かった情報が含まれていた場合は、取引先への連絡や、個人情報保護法に関わる対応が必要になることがあります。早めに専門家に相談してください。そのうえで、使うツールとルールを会社が用意していなかったことを振り返ってください。それが再発を防ぐことになります。


まとめ

約70%の中小企業が生成AIを使っているのに、社内ルールを整備している会社は全体の約10%、ほぼ毎日使う会社でも約4社に1社です。社員が勝手に使い始める前に、会社が決めておくことは、次のとおりです。

  1. 会社が契約した有料プランだけを使い、入力した内容が学習に使われるかを、公式の説明で確認する
  2. 使うアカウントとツールは、会社が決める
  3. 入力してはいけない情報を決める
  4. 任せてよい業務と、任せてはいけない業務を決める
  5. 生成AIの出力は、必ず人が確認してから使う

ルールがあれば、社員は「これは入力していいのか」と迷わずに生成AIを使えます。使ってよい範囲が決まっていれば、会社は情報を守れます。

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