生成AIは、答えを出させるより質問させる|姫路の生成AIアドバイザーが伝える、経営者が頭の中を言葉にする使い方と、AIに任せてはいけない場面

生成AIは、答えを出させるより質問させる|姫路の生成AIアドバイザーが伝える、経営者が頭の中を言葉にする使い方と、AIに任せてはいけない場面

生成AIに「求人原稿を書いて」「経営理念を考えて」と頼んでも、どこかで見たような文章しか返ってこない。そう感じたことのある経営者の方は多いと思います。

原因は、生成AIの性能ではなく、頼み方にあります。生成AIは、あなたの会社のことを知りません。知らない相手に答えを求めれば、どの会社にも当てはまる答えが返ってくるのは当然です。

今日は、生成AIに答えを出させるのではなく、質問させる使い方と、任せてはいけない場面について書きます。


目次

  1. 生成AIに答えを求めても、一般的な答えしか返ってこない
  2. 質問させる前に、会社と社長の情報を先に伝える
  3. 生成AIに質問させると、経営者の頭の中にある考えが言葉になる
  4. 求人原稿を書く前に、来てほしい人について質問させる
  5. 経営理念やビジョンは、質問に答えながら言葉にする
  6. 評価基準は、現場の事実を質問で引き出して整理する
  7. 生成AIに任せてはいけない4つの場面
  8. よくある質問
  9. まとめ

生成AIに答えを求めても、一般的な答えしか返ってこない

「介護施設の求人原稿を書いて」と生成AIに頼むと、数秒で文章が出てきます。「アットホームな職場です」「未経験の方も歓迎します」「やりがいのある仕事です」。読みやすく整っていますが、隣の施設の求人にそのまま載せても通用する文章です。

生成AIは、あなたの会社で誰が活躍していて、どんな人が辞めていき、社長が何を大事にしているのかを知りません。知らないのですから、世の中のたくさんの求人原稿に共通する、平均的な言葉を並べるしかないのです。一般的な答えしか返ってこないのは、生成AIに自社の材料を渡していないからです。

ところが、求人原稿に書くべき材料は、経営者の頭の中にあります。「うちに合う人は、何となく分かる」という感覚はあっても、文章にしようとすると手が止まる。材料はあるのに、言葉になっていないだけです。


質問させる前に、会社と社長の情報を先に伝える

生成AIに質問させる前に、やっておくことがあります。会社の情報、社長個人の情報、社長の思想を、先に生成AIに伝えることです。先に伝えないと、良い質問は出てきません。何も知らない生成AIは、「御社の強みは何ですか」のような、どの会社にも聞ける質問しかできないからです。

私自身、生成AIに仕事を頼むときは、最初に自分の情報を読み込ませています。過去のプロフィール、当社の公式ホームページ、自分の思想をまとめた文章です。だから生成AIは、私がどんな人間で、当社がどんな会社なのかを踏まえて質問してきます。

これは、どの会社でも同じようにできます。先に渡すのは、次の4つです。

  1. 会社のことが分かる、公式ホームページ。トップページだけでなく、会社概要や代表あいさつのページのURLも、1つずつ伝えます
  2. 社長の歩みが分かる、履歴書や職務経歴書。残っているなら、それを使います。住所、電話番号、生年月日、家族の欄は消しておきます
  3. 社長の言葉づかいと考え方が分かる、過去に書いたもの。本、ブログ、社内報、あいさつ文、会社案内などです。社員やお客様の名前が載っているものは、名前を消すか、社長が書いた部分だけを使います
  4. まだどこにも書いていない、今の時点の思想。仕事で大事にしていること、どうしても許せないこと、社員にどうなってほしいかを、箇条書きや話し言葉のままで伝えます

渡すときは、PDFやWordのファイルを添付するか、文章をコピーして貼り付けます。紙しか残っていないものは、スマートフォンで撮った写真を送っても読み取れます。本のように長いものが1回で入らないときは、「はじめに」と、思い入れのある章から渡します。

4つ目の思想は、たとえば介護施設の社長なら、次のように伝えます。

  • 利用者さんを、必ず「さん」付けの名前で呼ぶことを大事にしています
  • 利用者さんを流れ作業のように扱う介護は、どうしても許せません
  • 社員には、よその施設に移っても通用する介護職になってほしいと思っています

渡し終えたら、「当社と私について分かったことを、10行でまとめてください」と頼みます。URLを伝えただけでは、生成AIがページを読めていないことがあるからです。まとめが違っていたり、読めていなかったりしたら、そのページの文章を貼り付けて、その場で直します。

資料を渡す前と後で、質問は変わります。従業員20人の介護施設の社長が資料を渡した場合、たとえば次のような質問になります。

  • 渡す前:御社の強みは何ですか
  • 渡した後:経歴書に、介護の現場で10年働いてから独立したとあります。その10年で、「自分の施設ではこうしない」と決めたことは何ですか

会社と社長の資料を先に渡すと、生成AIの質問は、どの会社にも聞ける質問から、あなたの会社にしか聞けない質問に変わります。資料を、きれいな文章にまとめ直す必要はありません。今ある資料を手直しせずに使い、うまく言葉にできていない部分は、このあとの質問で引き出します。

渡してよいのは、会社の情報と、社長ご自身の情報です。社員、応募者、取引先の名前が入った資料は、名前を消してから渡します。会社で契約した生成AIを使うことと、学習の設定については、記事の後半の「よくある質問」に書きました。入力する前に確認してください。

新しいチャットを始めると、前に伝えた情報は引き継がれないことが多いです。求人原稿、経営理念、評価基準と、チャットを新しくするたびに、最初に資料を渡し直します。すぐに渡し直せるように、資料は1つのフォルダにまとめて保存しておいてください。


生成AIに質問させると、経営者の頭の中にある考えが言葉になる

情報を伝えたら、次は頼み方を変えます。生成AIに答えを書かせるのではなく、生成AIに質問をさせて、経営者が答えるのです。たとえば、次のように頼みます。

「ここまでに伝えた当社と私の情報をもとに、求人原稿を作りたいので、必要なことを私に質問してください。質問は1回に1つだけにして、私が答えたら次の質問をしてください。答えがあいまいなときは、もう一段くわしく聞いてください。質問は全部で10個ほどにしてください。私が『原稿にして』と言うまで、原稿は書かないでください」

ChatGPT、Claude、Geminiといった生成AIなら、どれでも同じように頼めます。こう頼むと、白紙から文章を書こうとすると手が止まる方でも、聞かれたことに話し言葉で答えるだけで済みます。やり取りは、たとえば次のようになります。

  • 生成AI:「流れ作業のような介護は許せない」とのことですが、今いる社員の中で、そうならない動きをしている人は、どんな行動をしていますか
  • 社長:気が利く人です
  • 生成AI:具体的には、どんな場面でそう感じましたか

質問を1つずつにしてもらうのは、5つも6つもまとめて聞かれると、面倒になって浅い答えで済ませてしまうからです。1つずつ聞かれ、あいまいな答えには「具体的には?」と返されるので、普段は口にしない本音も出てきやすくなります。10個ほどの質問に答え終わるころには、求人原稿の材料が、文字になって画面に並んでいます。

この頼み方が特に役に立つ場面は、次の3つです。

  1. 求人原稿を書く前
  2. 経営理念やビジョンを言葉にするとき
  3. 評価基準を作るとき

求人原稿を書く前に、来てほしい人について質問させる

1つ目は、求人原稿を書く前です。私は、求人原稿は「誰にでも来てほしい」ではなく、来てほしい人をたった1人に絞って書くべきだと考えています。その1人を言葉にするために、生成AIに質問させます。先ほどの頼み方の最後に、「次の5つは必ず質問してください」と書いて、続けて次の質問を貼り付けます。

  1. 今いる社員の中で、いちばん活躍しているのはどんな人ですか。その人は、どんな行動をしていますか
  2. その人は、なぜあなたの会社に入社を決めたのですか
  3. これまでに辞めた人は、どんな理由で辞めましたか
  4. 来てほしくないのは、どんな人ですか
  5. この仕事で、しんどいのはどんな場面ですか

良いことだけでなく、しんどい場面や、来てほしくない人についても聞いてもらってください。生成AIは、こちらから指定しないと、こうした質問をしてこないことが多いからです。良いことばかりを並べた求人原稿は、どの会社の求人とも見分けがつきません。答えがそろったら、「原稿にして」と伝えます。今度は材料があるので、あなたの会社の話が入ったたたき台になります。


経営理念やビジョンは、質問に答えながら言葉にする

2つ目は、経営理念やビジョンを言葉にするときです。「経営理念を考えて」と生成AIに頼むと、「お客様第一」「地域社会に貢献」といった、立派だけれど誰の言葉でもない文章が返ってきます。経営理念は、社長の体験から出てくる言葉でなければ、社員には伝わりません。

頼み方は、「先に伝えた当社と私の情報をもとに、経営理念を言葉にしたいので、私の体験や考えを、1つずつ質問して引き出してください」です。先に伝えた内容を、さらに掘り下げてもらいます。聞いてほしいのは、たとえば次のような質問です。生成AIがこれらを聞いてこなければ、「この質問もしてください」とこちらから足します。

  • この仕事を始めた理由の中で、今も変わっていないことは何ですか
  • お客様に言われて、いちばんうれしかった言葉は何ですか
  • 「どうしても許せない」と思うようになったのは、どんな出来事があったからですか
  • 3年後、5年後に、会社をどんな状態にしていたいですか

答え終わったら、「私の答えの中で、繰り返し出てきた言葉を、言い換えずにそのまま抜き出してください」と頼みます。抜き出された言葉が、自分が実際に使った言葉かどうかは、やり取りを見返して確かめてください。何度も出てくる言葉が、あなたの会社の経営理念の芯の候補です。その中からどれを選ぶかは、社長が決めます。


評価基準は、現場の事実を質問で引き出して整理する

3つ目は、評価基準を作るときです。「評価基準を作りたいけれど、何を基準にすればいいのか分からない」という経営者の方は少なくありません。ですが、経営者はすでに評価をしています。「あの社員は給料を上げてやりたい」「あの社員はまだ早い」と感じるなら、何かを見て判断しているはずです。

その「何か」を、生成AIの質問で引き出します。「先に伝えた当社と私の情報をもとに、評価基準のたたき台を作りたいので、社員の行動について1つずつ質問してください。私が感想で答えたら、具体的な行動を聞き返してください」と頼みます。次の3つは、必ず聞いてもらってください。

  1. この1年で、給料を上げたいと思った社員は、どんな行動をしていましたか
  2. 反対に、評価を上げにくいと感じた社員は、どんな行動をしていましたか
  3. 入社3年目の社員に、できるようになっていてほしいことは何ですか

答えるときは、「頑張っている」「やる気がある」のような感想ではなく、実際の行動で答えます。経営者の感覚を、誰が見ても分かる行動の言葉に置き換えたものが、評価基準のたたき台になります。答えがそろったら、「私の答えを、評価する行動の一覧にまとめてください」と頼みます。


生成AIに任せてはいけない4つの場面

質問させる使い方は、経営者が自分の考えを整理するためのものです。任せてはいけないのは、次の4つです。

  1. 社員や応募者の本音を聞く面談。面接、1on1、退職の相談は、相手の表情や声の変化を見ながら聞く場面です。人が聞くから、相手は「この会社は自分を見てくれている」と感じます
  2. 最終的な決断。誰を採用するのか、経営理念をどの言葉にするのか、評価をどうつけるのかは、経営者が決めます。生成AIの役割は、質問と整理までです
  3. 生成AIがまとめた文章を、自分の言葉に直す作業。きれいに整った文章は、どの会社でも言える言葉になりがちです。自分が普段使っている言い回しに直してから、社員や応募者に伝えます
  4. 法律や労務の判断。解雇できるかどうか、残業代はどう計算するのかといった判断は、会社の事情によって答えが変わります。生成AIの答えで決めずに、専門家に確認します

4つに共通するのは、結果の責任を取るのは人だ、ということです。生成AIは考えを整理する手伝いはできますが、責任は取れません。


よくある質問

Q. 生成AIの質問が的外れなときは、どうすればいいですか?

A. 「その質問は今回の目的と違います。知りたいのは、来てほしい人の人物像です」のように、何が違うのかをそのまま伝えると、生成AIは質問の方向を直してきます。直らないときは、聞いてほしい質問をこちらから指定します。また、やり取りが長くなると、まとめて質問してくるようになることがあります。そのときは、「質問は1回に1つにしてください」と、もう一度伝えてください。

Q. 生成AIに入力してはいけない情報はありますか?

A. あります。先に情報を伝えるときも、質問に答えるときも同じです。社員や応募者の名前、取引先の名前や契約の内容、未公開の数字などは、そのまま入力しないでください。名前を「Aさん」「B社」に置き換えても、生成AIは十分に質問できます。また、業務で使う生成AIは、会社で契約したものに限ってください。会社で契約したものでも、入力した内容が学習に使われる設定になっていることがあるので、使う前に設定を確認しておいてください。


まとめ

生成AIに答えを求めても、一般的な答えしか返ってこないのは、生成AIがあなたの会社のことを知らないからです。まず、会社の情報、社長個人の情報、社長の思想を、先に伝えてください。そのうえで、生成AIには答えを出させるのではなく、質問をさせて、頭の中にある考えを言葉にしてください。

来てほしい人、経営理念、評価基準は、質問に1つずつ答えることで言葉になります。一方で、社員や応募者の本音を聞く面談、最終的な決断、自分の言葉に直す作業は、生成AIに任せず、経営者が自分でやります。法律や労務の判断は、生成AIの答えで決めずに、専門家に確認してください。まずは、公式ホームページのURLと、手元の履歴書や過去に書いた文章を、生成AIに渡してください。そのうえで、「求人原稿を作りたいので、私に質問してください」と頼んでみてください。

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