生成AIを使えば、営業提案書は驚くほど速く作れます。
構成も整っているし、文章もそれなりにきれい。
「これは使える」と感じた企業も多いはずです。
ところが最近、
AIを使い始めてから、なぜか受注率が下がった
という相談が増えています。
原因を掘り下げていくと、共通して出てくるのが
「顧客言葉が消えている」という問題です。
目次
1. AI提案が「それっぽいのに刺さらない」理由
AIが作る提案書は、
- 論理的に整っている
- 表現が丁寧
- 一般論としては正しい
という特徴があります。
しかし顧客側から見ると、
「どこかで見た話」
「自分たちの話じゃない」
と感じられてしまうことが多い。
これは、AIが悪いのではありません。
AIに丸投げした時点で、提案の“核”が抜け落ちているのです。
2. 受注率が落ちる提案に共通する特徴
AI丸投げ提案には、はっきりした共通点があります。
- 顧客が実際に使った言葉が一切出てこない
- 課題が抽象的(効率化・DX・改善など)
- 「御社ではなくても通用する内容」になっている
顧客は、提案書を読んだ瞬間に無意識で判断しています。
「ちゃんと話を聞いてくれたか?」
その答えが「NO」だと、
内容以前に、心が離れます。
3. “顧客言葉”とは何か
顧客言葉とは、
- 打ち合わせで顧客が使った表現
- 愚痴や本音に近い言い回し
- 少し雑で、生々しい言葉
です。
例えば、
「業務効率が悪い」ではなく
「正直、この作業に毎日1時間取られているのがしんどい」
こうした言葉こそが、
提案の中心に置くべき材料です。
AIに丸投げすると、
これらはきれいに“翻訳”され、消えてしまいます。
4. なぜAIに任せると顧客言葉が消えるのか
AIは、
- 汎用化
- 抽象化
- 無難化
が得意です。
一方で、
特定の一社にしか当てはまらない文脈
は、入力されない限り再現できません。
ヒアリング内容を雑に渡したり、
「いい感じにまとめて」と指示すると、
提案は一気に“誰向けか分からない文章”になります。
5. AI提案でやってはいけない使い方
① ヒアリングメモを渡さずに作らせる
顧客の言葉がない以上、汎用提案になるのは当然です。
② 一発目のアウトプットをそのまま出す
AIの初稿は「下書き」です。完成品ではありません。
③ 営業が「考えなくていい道具」だと思う
考える工程を飛ばすと、提案は確実に弱くなります。
6. 受注率を落とさないAI提案の正しい使い方
生成AIは、
「提案を作る存在」ではなく
「提案を整理する存在」
として使うのが正解です。
① 顧客言葉をそのままAIに渡す
言い回しを直さず、会話文のまま入れます。
② 「この言葉は必ず使う」と指示する
顧客の発言を提案書に残す意識を持たせます。
③ 最後は必ず人が書き直す
「自分がこの顧客に話すならどう言うか」で整えます。
7. 提案は「文章」ではなく「会話の続き」
強い提案は、
打ち合わせの続きを、紙やスライドにしただけ
の状態になっています。
顧客が
「そう、それそれ」
「ちゃんと分かってる」
と感じる提案には、
必ず顧客自身の言葉が残っています。
AIに任せすぎると、
この一番大事な部分が消えます。
まとめ:AIは“省略装置”ではなく“増幅装置”
生成AIは、
営業提案を楽にしてくれる道具です。
しかし、
考えること・聞くこと・感じ取ること
まで代替してくれるわけではありません。
顧客言葉が入っていない提案は、
どれだけ整っていても、心に届きません。
AIに丸投げすればするほど、
提案は平均点に近づき、
受注率は下がっていきます。
AIを使うほど、
人の仕事は「聞く」「考える」「言葉を選ぶ」に戻る。
そこを放棄しない企業だけが、
AI時代でも受注を取り続けます。
筆者プロフィール
泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2025年現在、延べ100社以上の中小企業を支援。
採用・定着・労務に関する相談は累計2,000件超。
徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。
*姫路播州採用定着研究所
*C&P社労士法人 公式サイト
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