「シフト制だから残業はそんなに発生していないはず」。この認識のまま給与計算を続けた結果、未払い残業が積み上がり、後から大きな問題になるケースが増えています。
特に人数が限られている事業所では、シフト管理と給与計算を同じ担当者が兼務していることも多く、計算ロジックが曖昧なまま運用されがちです。
目次
1. シフト制でも残業は発生する
よくある誤解が、「シフト制=残業が出にくい」という考え方です。
しかし実際には、シフト制でも以下のようなケースで残業は発生します。
- シフトを超えて勤務した場合
- 人手不足で延長勤務が常態化している場合
- 早出・準備時間を労働時間に含めていない場合
これらを正しく把握していないと、気づかないうちに未払いが発生します。
2. 「所定労働時間」の理解不足が原因になる
未払い残業の多くは、所定労働時間の理解不足から生まれます。
例えば、
- 1日の所定時間を超えた時間
- 週の法定労働時間を超えた時間
これらの区別が曖昧なまま計算されているケースがあります。
シフトを組んでいるだけで安心してしまい、「実際に何時間働いたか」を正確に見ていないことが問題です。
3. 端数処理や手計算がリスクを高める
小規模な事業所では、給与計算を手計算や表計算ソフトで行っていることも多く見られます。
その中で、
- 10分単位・15分単位での切り捨て
- 打刻と実働時間のズレ
- 休憩時間の扱いミス
といった細かな誤差が積み重なり、結果として未払い残業が膨らんでいきます。
4. 気づいたときには数年分に
未払い残業の怖いところは、「気づきにくいこと」と「さかのぼって請求されること」です。
退職した従業員が専門家に相談し、過去数年分の未払いを請求するケースもあります。
月数万円のズレでも、年単位・複数人となれば、数百万円規模になることも珍しくありません。
5. 防ぐための実務ポイント
シフト制の未払い残業を防ぐためには、次の点を見直す必要があります。
- 実際の労働時間を正確に把握する
- 所定労働時間と法定労働時間を区別する
- 端数処理のルールを適正にする
- 勤怠と給与計算の連動を確認する
特に重要なのは、「シフト通りに働いたか」ではなく、「実際に何時間働いたか」を基準にすることです。
まとめ
シフト制は柔軟な働き方を実現できる一方で、管理を誤ると未払い残業が発生しやすい仕組みでもあります。
小さなズレが積み重なり、気づいたときには大きな負担になるケースもあります。給与計算の仕組みを見直し、正確な労働時間管理を行うことが、リスクを防ぐ第一歩です。
筆者プロフィール
泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2025年現在、延べ100社以上の中小企業を支援。
採用・定着・労務に関する相談は累計2,000件超。
徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。
*姫路播州採用定着研究所
*C&P社労士法人 公式サイト
*Facebook

