兼業・副業規程を放置してトラブル化、姫路の企業に多い“アップデート漏れ”

兼業・副業規程を放置してトラブル化、姫路の企業に多い“アップデート漏れ”

2026年1月22日

ここ数年で、副業・兼業を取り巻く環境は大きく変わりました。
以前は「原則禁止」が当たり前だった会社でも、
今では実質的に副業を認めている、あるいは黙認しているケースが増えています。

その一方で多いのが、
就業規則や兼業・副業規程を昔のまま放置していることによるトラブルです。

現場の実態とルールがズレたまま時間が経つと、
いずれ必ず問題として表面化します。


1. 「うちは黙認している」が一番危ない

人数が少ない会社ほど、
「副業しているのは知っているけど、特に問題は起きていない」
という状態になりがちです。

しかし、規程上は

「許可なく兼業・副業を禁止する」

と書かれたまま、というケースは少なくありません。

この状態で何か起きると、

  • 注意や指導ができない
  • 処分の根拠が曖昧になる
  • 会社の対応がブレる

結果として、
トラブルがこじれやすくなります。


2. 兼業・副業トラブルが起きやすい典型パターン

規程を放置したまま起きがちなトラブルには、共通点があります。

  • 副業先での疲労が本業に影響する
  • 競合に近い仕事をしていた
  • 本業の情報を不用意に使っていた
  • 労働時間の管理が曖昧になる

このとき、
「副業自体はOKなのか」
「どこまでがNGなのか」
が整理されていないと、会社としての判断ができません。


3. 副業=リスク、ではない

副業という言葉に、
「トラブルの種」
というイメージを持っている経営者も多いかもしれません。

しかし、視点を変えると、副業には明確なメリットもあります。

  • 他社で得た知識やスキルが本業に活きる
  • 視野が広がり、仕事の質が上がる
  • 外の評価を知ることで主体性が高まる

特に、賃上げが簡単ではない状況の中で、
従業員の年収を上げる手段として副業を認めることは、現実的な選択肢でもあります。

収入面の不安が減ることで、
転職リスクを下げられるという効果も見逃せません。


4. 問題は「禁止か容認か」ではなく「ルールがあるか」

副業を完全に禁止するか、自由に認めるか。
この二択で考えると、判断を誤りやすくなります。

重要なのは、

「何を守ってほしいのかを明確にすること」

です。

例えば、

  • 競業・利益相反はNG
  • 本業に支障が出る場合は見直す
  • 事前申告を必須にする
  • 情報管理のルールを決める

こうしたポイントを整理するだけで、
副業は「管理できないリスク」から「コントロールできる制度」に変わります。


5. 小規模企業ほど「アップデート」が重要な理由

人数が少ない会社では、
一人の行動が組織全体に与える影響が大きくなります。

だからこそ、
曖昧な運用や場当たり対応は、後々大きな問題につながります。

規程をアップデートすることで、

  • 社員も安心して副業に取り組める
  • 会社としてのスタンスが明確になる
  • トラブル時の判断基準ができる

というメリットがあります。


6. 規程見直しの際に押さえるべきポイント

① 現場の実態を前提にする

すでに副業している人がいるなら、そこを無視しない。

② 副業のメリットも正面から認める

会社にとってもプラスになる点を明確にする。

③ 禁止事項は絞る

全部ダメ、ではなく「ここだけは守ってほしい」を整理する。


まとめ:副業規程は「止めるため」ではなく「活かすため」にある

兼業・副業を巡るトラブルの多くは、
副業そのものではなく、
ルールのアップデートを怠ったことが原因です。

他社での学びが自社に還元され、
従業員の収入も安定する。

これは、
人材確保が難しい環境において、
小規模企業が取り得る現実的な選択肢でもあります。

副業を「禁止するかどうか」で止まらず、
どう付き合うかを制度として整理する。

それが、トラブルを防ぎながら組織を強くする、一番の近道です。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。