本当にほしい人材には、その場で面接試験合格を伝えるべき理由|姫路の採用定着士が伝える、応募者の本音を引き出すファン化面接

本当にほしい人材には、その場で面接試験合格を伝えるべき理由|姫路の採用定着士が伝える、応募者の本音を引き出すファン化面接

「今日はありがとうございました。結果は追ってご連絡します」

面接の終わり方として、よく聞く一言です。

ですが、本当に来てほしいと思った相手にこの終わり方をすると、他社に流れることがあります。応募者からすれば、受かったのかどうかも、いつ連絡が来るのかも分からないまま帰ることになるからです。

私は、絶対に採用したい人には、面接試験の合格をその場で伝えるべきだと考えています。ただしこれは、内定をその場で出すこととは違います。

今日は、ファン化面接の終わり方について書きます。こちらの気持ちを先に伝え、そのうえで相手の本音を聞く。その順番と、その場で合格を伝えるべき理由です。


目次

  1. 先に、こちらの気持ちを伝える
  2. そのうえで、テストクロージング
  3. 反応が良ければ、そこで初めて「ぜひ来てください」
  4. 選考結果は、いつ・いつまでに・どんな手段で伝えるかを言い切る
  5. 社長には言えない本音は、見送りに出た社員が拾う
  6. よくある質問
  7. まとめ

先に、こちらの気持ちを伝える

ファン化面接では、面接官が先に自己開示をします。なぜこの会社にいるのか、何を大事にしているのか。先に見せるから、相手も見せてくれるからです。

面接の終わり方も、これと同じ原理です。先に、こちらが今日の面接で思ったことを伝えてください。

「今日お話をして、とても魅力的な方だと思いました」
「当社にぜひ来ていただきたい人材だな、と感じました」

ここで遠慮しないでください。何も言わずに帰してしまえば、応募者の手元には会社案内と自分が話した内容だけが残り、こちらがどう思ったのかは何ひとつ伝わりません。求人を出しても1か月に1人も応募がない会社は、姫路にもたくさんあります。職種によっては1年に1人も来ない。そういう状況で目の前にようやく良い人が座っているのに、思ったことを言わないまま帰すのは、あまりにもったいない話です。

ただし、この段階で言ってはいけないことがひとつあります。

「ぜひうちに来てください」というお願いです。

相手がどう思っているのかも分からないうちに頼んでしまうと、それは頼み事にしかなりません。選ぶ側であるはずの会社が急に下から来たことになるので、「そんなに人が採れていないのか」「入ったらどんな職場なのか」と、応募者の頭では別の想像が始まります。

ここで伝えるのは、あくまでこちらが思ったことです。お願いではありません。


そのうえで、テストクロージング

こちらの気持ちを伝えたら、次は相手に聞きます。

「〇〇さんは、今日お話しして、どう思われましたか」
「逆に〇〇さんはどうですか?」

営業でいうテストクロージングです。契約を迫るのではなく、いまどのくらい前に進む気があるのかを確かめる。それと同じことを、面接でもやります。

この順番が大事です。こちらが何も見せないまま「どう思いましたか」と聞いても、当たり障りのない答えしか返ってきません。自己開示が先で質問が後、という面接全体の設計と、まったく同じ話です。

先に「あなたが良いと思いました」と伝えられた応募者は、こちらへの警戒を一段下げたところで答えます。「ぜひ前に進めたいです」と即答する人もいれば、「もう少し考えたいです」と言葉を選ぶ人もいますし、「実は他社も受けているので、そちらの結果を見てから決めたいです」と正直に話してくれる人もいます。

この一言があるかないかで、そのあとの打ち手が変わります。温度が高い人にはその場で動けますし、迷っている人には考える時間を渡すという選択ができます。何も聞かずに帰してしまえば、誰が前のめりで誰が迷っているのかも分からないまま、会社は全員に同じ対応をするしかありません。


反応が良ければ、そこで初めて「ぜひ来てください」

テストクロージングの反応が良く、こちらも絶対に採用したいと思った。ここまで揃ったら、はじめて「ぜひ来てください」と言ってください。

同じ言葉でも、順番が違えば意味が変わります。相手の気持ちを聞く前に言えばお願いですが、相手が前向きだと確かめたうえで言えば、それは気持ちの確認になります。

そして、その場で面接試験の合格を伝えて、次の面接のアポまで、その日のうちに取ってしまってください。

「合格です。次は現場を見ていただきたいので、来週のご都合はいかがですか」。ここまでを面接室の中で終わらせます。転職活動をしている人は2社か3社を並行して受けていることが多いので、持ち帰って社内で相談している数日のあいだに、他社が先に答えを出すことがあります。

中小企業には、大企業にはない強みがあります。決める人が、その場に座っているということです。稟議を回す必要も、人事部と日程を調整する必要もないのですから、面接が終わったその瞬間に結論を出せる。この強みを使わないまま「良い人が採れない」と言うのは、もったいない話です。

ただし、ひとつだけ気をつけてください。合格を伝えることと、内定を出すことは別です。この2つを混ぜてしまうと、せっかくの早さが裏目に出ます。

その場で内定を出して「いつから来られますか」と迫るのは、おすすめしません。応募者にも家族がいますし、配偶者や親に相談する時間もないまま押し切られてしまうと、その場では流されたとしても、家に帰って落ち着いたところで気持ちが冷めていきます。入社後のミスマッチや早期離職の原因にもなります。

ですから「合格です。後日あらためて、条件面談の場を設けさせてください」で止めておきます。前に進んでいるという実感は渡しつつ、家族と話す時間までは奪わない。この線引きができているかどうかで、入社後の定着まで変わってきます。


選考結果は、いつ・いつまでに・どんな手段で伝えるかを言い切る

ここからは、その場で合格を出さなかった方も含めて、面接に来た全員に対してやることです。

「結果は追ってご連絡します」。この言葉をやめてください。応募者からすると、何をどれだけ待たされるのか分からないからです。

ご相談を受けて、面接から結果連絡までの日数を実際に数えてもらうと、7日から10日かかっている会社があります。社長が忙しかった、他の候補者を待っていた、幹部と話す時間が取れなかった。理由はどれも会社側の事情ですが、応募者からすればそんな事情は知りようがなく、その7日から10日のあいだに他社の面接を受け、場合によってはそちらで話が決まっていきます。

代わりに、その場で具体的に言い切ります。いつまでに結論を出すのか、誰から、どんな手段で連絡するのか。「今週中に社内で決めて、遅くとも来週火曜日の18時までに、私から携帯にお電話します」。ここまで言い切れば、応募者は他社の面接を受けながらでも、その日まで結論を保留してくれます。

何日以内にするかは、会社ごとに決めていただいて構いません。社長ひとりで決められる会社と、幹部と相談してから決める会社では、必要な日数が違って当然です。大事なのは日数そのものではなく、曖昧にしないことです。

そして、決めた期日は守ってください。「来週火曜まで」と言っておきながら水曜になってから連絡すれば、この会社は入社後も約束を守らないのだろうと受け取られても、こちらから言い返せることは何もありません。

不採用の方への連絡も同じです。出さない会社はいまも多いのですが、姫路のように同じ業界で働く人どうしがどこかでつながっている地域では、丁寧に断られた人があとになって知人を紹介してくれることもあれば、逆に連絡もなく放置された話が人づてに広まっていくこともあります。落とした人にどう接したかは、会社の評判として戻ってきます。


社長には言えない本音は、見送りに出た社員が拾う

ここまでが面接室の中の話で、最後にひとつ、部屋を出たあとのことを書いておきます。

面接の場でテストクロージングをしても、社長を前にして「実は他社が第一志望です」とまで言える人は多くありません。相手が決裁者だからこそ、言えないことがあります。

そこで、見送りを別の社員に任せます。社長が60分の面接をして、玄関まで送るのは事務や現場の社員。その道中で、こう聞かせてください。「面接、どうでしたか」「社長、どんな感じでした?」。

これが二度目のテストクロージングになります。決裁権を持たない相手には話しやすいので、社長の前では出てこなかった一言が、玄関に向かう途中でぽろりと出ることがあります。「思っていたより厳しそうでした」「ちょっと迷っています」。玄関までの1分か2分で聞けるこの一言が、次の一手を変えます。

見送りを丁重にしましょう、という話ではありません。送らなかったから辞退される、というほど単純でもない。見送りは、もう一度本音を聞くための時間として設計する。そう考えていただくと、その役を誰に頼むべきか、その人にどこまで聞いてもらうべきか、聞いた話を誰にどう戻すのかまで、自然に決まってきます。


よくある質問

Q. その場で合格を伝えたら、あとから断りにくくなりませんか

A. だからこそ、内定ではなく面接試験の合格として伝えます。次に二次面接と条件面談が残っている以上、そこで折り合わなければ話は進みません。

むしろ気をつけたいのは、迷っているのに「合格です」と言ってしまうことです。その場で伝えるのは、絶対に採用したいと思った相手だけにしてください。迷いながら出した合格は、相手にも伝わります。

Q. 見送りに出す社員には、何と頼めばいいですか

A. 手順だけを渡さないでください。先に、なぜやってもらうのかを伝えます。

「一緒に働く人だから、みんなにとって良い人に来てほしい。だから、あなたが感じたことも聞かせてほしい」。この一言があるかどうかで、頼まれた側の受け取り方はまったく違います。目的を言わずに「感想を聞いてきて」とだけ言えば、それは作業の割り当てになります。

そのうえで、自由にやってもらってください。応募者を見て「めっちゃいい人だな」と思ったなら、本人にそう伝えてもらって構いません。社長についての本音も、その社員の言葉で話してもらっていい。「社長、ちょっと怖いところもあるけどね」でも構わないと思っています。取り繕った案内より、そのほうが応募者には届きます。

聞いた内容は、その日のうちに社長へ共有する。ここまでを流れとして決めておけば、担当者が変わっても同じことができます。

そして、これは見送りに限った話ではありません。採用を社長と人事担当者だけでやっている会社は、この先しんどくなります。現場の社員を巻き込むこと。そのときに、目的を伝えて、あとは任せること。「これをこう言え」と台本を渡す会社に、人は残りません。


まとめ

面接の終わり方について、今日お伝えしたかったことは4つです。

  • 先に、こちらが思ったことを伝える。自己開示と同じで、こちらが見せるから相手も見せてくれる
  • そのうえでテストクロージング。「どう思われましたか」と聞いて、相手の温度を確かめる
  • 反応が良く、絶対に採用したいと思ったら、そこで初めて「ぜひ来てください」と言う
  • その場で合格と次のアポまで。ただし内定は出さない

どれもお金はかかりませんし、明日の面接から変えられます。求人媒体を変える前に、面接の終わり方を変えてください。

最後にひとつ、正直に書いておきます。ここに書いたことが唯一の正解ではありません。応募者によっても、面接官の性格によっても、合うやり方は変わりますし、私自身も毎回同じようにやっているわけではありません。

お伝えしたかったのは、こういう発想を持ってほしいということです。採用に決まった型はありませんから、社長が本気で、何がベストなのかを考え続けるしかありません。やってみて、うまくいかなくて、それで終わりにしないでください。どうすればうちに良い人が来てくれるのか。そこを考え続けている会社が、結局のところ強いのだと思っています。

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筆者プロフィール

泉 正道(Masamichi Izumi)|姫路の社会保険労務士
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2026年9月現在、延べ100社以上の中小企業を支援。採用・定着・労務に関する相談は累計3,000件超(日々更新中)。

姫路を拠点に、中小企業の採用定着を「仕組み化(内製化)」する伴走支援を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。

姫路の経営者様はもちろん、遠方の方もオンライン対応可能ですので、お気軽にご相談ください。

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