最近、労働基準監督署からの指導内容として増えているのが、
有給休暇の管理簿が適切に作成・管理されていないという問題です。
特に、従業員数が少ない事業所ほど、
「うちは規模が小さいから」
「忙しくてそこまで手が回らない」
と後回しにされがちですが、現実は逆です。
中小企業ほど、管理の甘さがそのままトラブルになります。
目次
1. 「まだ小さいから」は通用しなくなっている
実際、姫路周辺でも、
- 「従業員が5人しかいないから余裕がない」
- 「まだ小さい会社だから、勤怠管理まではできない」
といった理由で、
- 勤怠管理をしていない
- 有給休暇の付与・取得状況を把握していない
という事業所が少なからず存在します。
しかし、こうした考え方は、
おそらく数年以内に通用しなくなります。
なぜなら、労基署のチェックは年々細かくなっており、
「人数が少ないから」という理由は、
免罪符にはならないからです。
2. 有給休暇管理簿は「義務」であり、努力目標ではない
年次有給休暇の管理簿は、
「できたら作るもの」ではありません。
有給休暇を与えるすべての事業所に、作成・保存義務があります。
管理簿には、少なくとも次の内容を記載する必要があります。
- 付与日
- 付与日数
- 取得日
- 残日数
「口頭でだいたい把握している」
「カレンダーに書いてある」
では、管理しているとは認められません。
3. 管理が甘い会社ほど、労基署の指導が入りやすい
有給休暇の管理がテキトウな会社は、
次の点でも問題を抱えているケースが多いです。
- 勤怠管理が曖昧
- 労働時間の把握ができていない
- 書類が整っていない
その結果、
有給休暇をきっかけに、他の違反も一緒に指摘される
という流れになりがちです。
4. 規模が小さくても、やっている会社はやっている
一方で、規模を理由にせず、
きちんと対応している中小企業もあります。
例えば、
- 従業員3人
- 売上規模5,000万円程度
の事業所でも、
- 勤怠は必ず記録
- 有給休暇も管理簿で把握
- 一気に取れなくても、分割取得を工夫
といった形で、できる範囲で工夫しています。
ここで重要なのは、
完璧かどうかではなく、
「やる姿勢があるかどうか」
です。
昭和や平成の
「忙しいから仕方ない」
「小さい会社だから無理」
といった言い訳は、
もはや通用しません。
5. 有給休暇管理を怠った場合の罰則
有給休暇の管理簿を作成せず、
適切に管理していない場合、
労働基準法違反となります。
具体的には、
- 30万円以下の罰金
が科される可能性があります。
実務では、まず是正勧告となるケースが多いですが、
- 改善が見られない
- 同様の違反を繰り返す
場合は、
より厳しい対応に進むこともあります。
6. 有給休暇を軽視する会社は、離職率が高くなる
法令違反の問題以上に深刻なのが、
従業員の意識です。
有給休暇が
- 取りづらい
- 管理されていない
- 曖昧に扱われている
職場では、
従業員は確実にこう感じます。
「この会社は、自分たちを大切にしていない」
その結果、
不満は蓄積し、
静かに離職率が高まっていきます。
まとめ:小さい会社ほど「基本」を外さない
有給休暇の管理は、
難しい制度ではありません。
しかし、
やらない会社と、やる会社の差が一気に表に出るポイント
でもあります。
・規模が小さいから
・忙しいから
という理由で後回しにした結果、
- 労基署の指導
- 是正対応に追われる
- 従業員の不信感
を招くのは、本末転倒です。
小さい会社だからこそ、
基本をきちんと押さえる。
それが、
労働トラブルを防ぎ、
人が辞めない職場をつくる、
一番確実な方法です。
筆者プロフィール
泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー
姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。
「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。
支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。
生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。

