有給休暇の管理簿が超テキトウで労基署から指導。姫路の中小企業で増えている労働トラブル

有給休暇の管理簿が超テキトウで労基署から指導。姫路の中小企業で増えている労働トラブル

2026年2月15日

最近、労働基準監督署からの指導内容として増えているのが、
有給休暇の管理簿が適切に作成・管理されていないという問題です。

特に、従業員数が少ない事業所ほど、
「うちは規模が小さいから」
「忙しくてそこまで手が回らない」
と後回しにされがちですが、現実は逆です。

中小企業ほど、管理の甘さがそのままトラブルになります。


1. 「まだ小さいから」は通用しなくなっている

実際、姫路周辺でも、

  • 「従業員が5人しかいないから余裕がない」
  • 「まだ小さい会社だから、勤怠管理まではできない」

といった理由で、

  • 勤怠管理をしていない
  • 有給休暇の付与・取得状況を把握していない

という事業所が少なからず存在します。

しかし、こうした考え方は、
おそらく数年以内に通用しなくなります。

なぜなら、労基署のチェックは年々細かくなっており、
「人数が少ないから」という理由は、
免罪符にはならないからです。


2. 有給休暇管理簿は「義務」であり、努力目標ではない

年次有給休暇の管理簿は、
「できたら作るもの」ではありません。

有給休暇を与えるすべての事業所に、作成・保存義務があります。

管理簿には、少なくとも次の内容を記載する必要があります。

  • 付与日
  • 付与日数
  • 取得日
  • 残日数

「口頭でだいたい把握している」
「カレンダーに書いてある」
では、管理しているとは認められません。


3. 管理が甘い会社ほど、労基署の指導が入りやすい

有給休暇の管理がテキトウな会社は、
次の点でも問題を抱えているケースが多いです。

  • 勤怠管理が曖昧
  • 労働時間の把握ができていない
  • 書類が整っていない

その結果、

有給休暇をきっかけに、他の違反も一緒に指摘される

という流れになりがちです。


4. 規模が小さくても、やっている会社はやっている

一方で、規模を理由にせず、
きちんと対応している中小企業もあります。

例えば、

  • 従業員3人
  • 売上規模5,000万円程度

の事業所でも、

  • 勤怠は必ず記録
  • 有給休暇も管理簿で把握
  • 一気に取れなくても、分割取得を工夫

といった形で、できる範囲で工夫しています。

ここで重要なのは、
完璧かどうかではなく、

「やる姿勢があるかどうか」

です。

昭和や平成の

「忙しいから仕方ない」
「小さい会社だから無理」

といった言い訳は、
もはや通用しません。


5. 有給休暇管理を怠った場合の罰則

有給休暇の管理簿を作成せず、
適切に管理していない場合、
労働基準法違反となります。

具体的には、

  • 30万円以下の罰金

が科される可能性があります。

実務では、まず是正勧告となるケースが多いですが、

  • 改善が見られない
  • 同様の違反を繰り返す

場合は、
より厳しい対応に進むこともあります。


6. 有給休暇を軽視する会社は、離職率が高くなる

法令違反の問題以上に深刻なのが、
従業員の意識です。

有給休暇が

  • 取りづらい
  • 管理されていない
  • 曖昧に扱われている

職場では、
従業員は確実にこう感じます。

「この会社は、自分たちを大切にしていない」

その結果、
不満は蓄積し、
静かに離職率が高まっていきます。


まとめ:小さい会社ほど「基本」を外さない

有給休暇の管理は、
難しい制度ではありません。

しかし、

やらない会社と、やる会社の差が一気に表に出るポイント

でもあります。

・規模が小さいから
・忙しいから

という理由で後回しにした結果、

  • 労基署の指導
  • 是正対応に追われる
  • 従業員の不信感

を招くのは、本末転倒です。

小さい会社だからこそ、
基本をきちんと押さえる。

それが、
労働トラブルを防ぎ、
人が辞めない職場をつくる、
一番確実な方法です。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。