「未払残業代請求」への対応とは?姫路の中小企業が押さえるべき特定社労士の視点

「未払残業代請求」への対応とは?姫路の中小企業が押さえるべき特定社労士の視点

2025年12月10日

未払残業代請求は、従業員とのコミュニケーション不足だけでなく、労働時間の捉え方や就業規則の不備が原因となることが多く見られます。
「固定残業代があるから大丈夫」「タイムカードは目安でいい」といった誤解が積み重なると、請求額が数百万円規模になることも珍しくありません。
地方企業では人材の確保が難しいため、トラブルにより職場の信頼が損なわれると採用にも悪影響が及びます。
リスクを軽視しない姿勢が経営の安定につながります。


請求があったときの初期対応のポイント

従業員から未払残業代請求を受けた際は、感情的な対応を避け、事実関係の整理から始めることが重要です。
まず、タイムカード・勤怠システム・日報・業務記録など、勤務実績を客観的に確認します。
同時に、就業規則の労働時間・割増賃金の規定や、固定残業代制度の運用状況もチェックします。
特定社労士としては、企業側の主張や証拠整理を冷静に進めつつ、法的に不利な点や改善すべき点を早期に示し、行政対応やあっ旋手続きが必要な場合には柔軟にサポートすることが求められます。


固定残業代制度の誤解と見直しの重要性

多くの中小企業で誤解されやすいのが固定残業代制度です。
「固定残業代を払っている=残業代の請求はされない」という認識は誤りで、法律上は①明確な内訳の提示、②実際の残業時間との比較、③超過分の追加支払いが必須です。制度の説明が不足していたり、求人票や雇用契約書の記載が曖昧だった場合には、請求リスクが高まります。
特定社労士としては、制度の再設計や賃金規程の見直しを早期に行うことを強く推奨します。


勤怠管理の整備がトラブル防止の鍵

未払残業代請求は「記録」が曖昧であるほど企業が不利になります。
タイムカードや打刻システムの導入はもちろん、業務開始・終了時刻、休憩取得の運用ルールを明確にし、実態と規程が一致していることが不可欠です。
また、管理職が“サービス残業を前提とした指示”を出していないかチェックすることも重要です。
地方企業では暗黙の了解が慣行化しやすいため、組織文化レベルで改善することがトラブル防止につながります。


請求を機に組織改善につなげる視点

未払残業代請求は企業にとって痛手ですが、同時に組織改善のチャンスでもあります。
業務量の偏りや指示の曖昧さ、コミュニケーション不足が可視化されるため、改善することで労働生産性が向上します。
さらに、労務環境の整備は採用力にも直結し、応募者からの信頼も高まります。
採用定着士としての視点では、「働き続けやすい環境づくり」を強化することで離職防止と企業力向上を同時に実現できます。


まとめ:早期対応と専門家の支援が最善の防御策

未払残業代請求は、放置すれば企業の財務・信頼・採用に深刻な影響を及ぼします。
請求があった場合には、証拠整理と制度確認を迅速に行い、必要に応じて特定社労士へ相談することが最も安全な対応です。
また、請求が起きていない企業でも、勤怠管理・賃金制度・就業規則の見直しを定期的に行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。
地方中小企業こそ、労務リスクに強い体制を整えることが、持続的成長への大きな一歩になります。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。