【姫路の経営者必読】「あの人がいないと回らない」は経営者の責任——遠藤航の離脱が教える属人化リスクの末路

【姫路の経営者必読】「あの人がいないと回らない」は経営者の責任——遠藤航の離脱が教える属人化リスクの末路

2026年6月13日



2026年6月11日、サッカー日本代表主将・遠藤航がワールドカップ直前に離脱し、代表引退を表明しました。靭帯断裂という不可抗力による欠場です。

「なぜ今なのか」「チームはどうなるのか」——多くの人がそう思ったはずです。でも私が真っ先に考えたのは、「これ、中小企業で毎日起きていることと同じだ」ということでした。

主力が突然いなくなる。準備ができていない組織は、一気にバタつく。日本代表は急いで町野修斗を追加招集しました。でも中小企業では、急いで採用できるほど人材市場は甘くありません。

「あの人がいないと回らない」状態は、経営者が作り出したリスクです。今日はその構造と、脱出する方法をお伝えします。


目次

  1. 「属人化」は悪意なく生まれる
  2. 突然の離脱が引き起こす「3つの崩壊」
  3. 「あの人がいなくても回る組織」は作れる
  4. 今すぐできる属人化チェック
  5. よくある質問
  6. まとめ

「属人化」は悪意なく生まれる

属人化とは、特定の業務が特定の人にしかわからない状態のことです。

これは、誰かが意図して起こすわけではありません。むしろ、「できる人に任せる」という自然な流れの結果として生まれます。

  • 仕事が速い人に、どんどん仕事が集まる
  • 「あの人に聞けばわかる」が定着する
  • 本人も「自分しかわからない」ことに気づかない
  • 引き継ぐ余裕がないまま、何年も続く

遠藤航も、チームの中心として何年もプレーしてきました。誰もが「遠藤がいる前提」で動いていた。だから直前の離脱が、これほど大きな衝撃になった。

中小企業でも同じです。「営業は田中さんしかできない」「経理は山田さんに全部任せている」——その人が突然いなくなったとき、会社は初めてそのリスクに気づきます。


突然の離脱が引き起こす「3つの崩壊」

属人化した状態で主力が突然離脱すると、会社には3つの崩壊が起きます。

① 業務の崩壊

その人しか知らない手順・取引先・ノウハウが、一瞬で失われます。マニュアルも引き継ぎ資料もない。残った社員が「どうすればいいかわからない」状態になります。顧客対応が止まり、ミスが増え、クレームが発生します。

② 採用の崩壊

「急いで人を採らなければ」と焦ると、採用基準が下がります。「誰でもいいから早く」という採用は、ほぼ確実にミスマッチを起こします。入社してもすぐ辞める。その繰り返しが、組織をさらに疲弊させます。

③ 信頼の崩壊

残った社員は、経営者を見ています。「こんな状態になるまで何もしていなかったのか」「次は自分が抜けても大丈夫なのか」——不安が広がり、連鎖退職が起きることもあります。一人の離脱が、組織全体の信頼を壊すことがあります。


「あの人がいなくても回る組織」は作れる

重要なのは、属人化を「なくす」のではなく、「リスクを管理する」ことです。完全にゼロにはできません。でも、「誰かが突然いなくなっても、最低限回せる状態」は作れます。

① 業務の見える化(ハード)

まず「その人しか知らない業務」をリストアップします。手順書・チェックリスト・担当先リストを作る。完璧なマニュアルでなくていい。「誰かが見ながら80%できる」レベルで十分です。

② バックアップ人材の育成(ハード)

重要業務に「副担当」を置く仕組みを作ります。普段は任せつつ、月に一度は副担当も同席・確認する。この積み重ねが、突然の穴埋めに機能します。

③ 「辞めたくない」空気を作る(ソフト)

仕組み化と同時に大切なのが、ソフトの部分です。「この会社にいたい」と思ってもらえる環境があれば、突然の離脱リスク自体を下げられます。定期面談・1on1・本音を言える関係——これが「辞める前の相談」につながります。制度(ハード)だけでなく、信頼関係(ソフト)を育てることが、属人化解消の土台になります。


今すぐできる属人化チェック

以下のうち、1つでも当てはまれば要注意です。

  • 「○○さんがいないとわからない」という場面が月に1回以上ある
  • 急な有休・体調不良で業務が止まったことがある
  • 特定の人への連絡・問い合わせが集中している
  • 引き継ぎ資料がなく「頭の中にしかない」業務がある
  • 退職時の引き継ぎ期間が1週間未満だったことがある

3つ以上当てはまる場合、そのリスクは「いつ爆発するか」の問題です。今すぐ、重要業務の洗い出しから始めてください。


よくある質問

Q. マニュアルを作る時間がありません。どこから始めればいいですか?

A. 「もしこの人が明日いなくなったら一番困る業務」を1つだけ選んで、その手順をA4一枚にまとめることから始めてください。完璧なマニュアルは不要です。「誰かが見ながら動ける最低限の情報」があるだけで、リスクは大きく下がります。

Q. 属人化を解消しようとすると、担当者が「自分の価値が下がる」と感じて協力してくれません。

A. これはよくある反応です。「あなたを外したいわけではなく、会社としてリスクを管理したい」という目的を正直に伝えることが大切です。また、引き継ぎ・教育に協力した社員を評価する仕組み(ハード)と、その人の強みを別の形で活かす場を作る(ソフト)の両方が有効です。


まとめ

遠藤航の離脱は、不可抗力でした。でも中小企業における「主力の突然離脱」は、多くの場合、仕組みを作らなかった経営者の責任で大きくなります。

「あの人がいないと回らない」状態は、今すぐ変えられます。完璧な仕組みでなくていい。まず1つの業務を見える化するだけで、リスクは確実に下がります。

準備するなら、「まだ大丈夫な今」しかありません。

「また辞めた」「応募が来ない」——その悩み、仕組みで解決できます。
姫路の中小企業の採用定着を、一緒に仕組み化しましょう。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。