「急に人が辞めた」「来月までに誰か採らないと回らない」。こうした“緊急採用”に追い込まれた経験はありませんか。
結論から言うと、緊急採用という考え方そのものが失敗の入口です。この状態に入った時点で、採用はかなり不利な戦いになります。
なぜなら、焦りの中で採用を進めると、判断基準がブレてしまうからです。
目次
1. 緊急採用で起きる典型的な失敗パターン
人が足りない状況になると、企業は次のような行動を取りがちです。
- 「とにかく来てくれる人」で妥協する
- ペルソナ(求める人物像)を広げる
- 条件を一時的に良く見せる
- 広告費を増やして応募数を集める
一見すると合理的に見えますが、このやり方は高確率で失敗します。
なぜなら、「合わない人」を採用してしまう可能性が一気に高まるからです。
そして結果として、
- 早期離職
- 既存社員の不満増加
- 再び人手不足に逆戻り
という悪循環に入ります。
2. 「1ヶ月以内に採用」が危険な理由
「1ヶ月以内に人が必要」となると、ほぼ確実に次の判断をします。
- ペルソナを広げる
- 広告費をかける
しかし、この時点で勝負は決まっています。
ペルソナを広げるということは、「誰でもいい」に近づくということです。広告費をかけても、応募の質はコントロールできません。
つまり、量は増えるが質は下がるという状態になります。
その中から無理に採用すれば、ミスマッチが起きるのは当然です。
3. 正解は「常に採用している状態」を作ること
ではどうすればいいのか。答えはシンプルです。
緊急採用をしない状態を作ることです。
具体的には、
- ペルソナを徹底的に絞る
- そのペルソナに刺さる情報を発信し続ける
- 常に募集を出しておく
この状態を作ることで、「良い人が来たら採る」というスタンスが取れるようになります。
結果として、採用基準を下げる必要がなくなります。
4. 採用は「タイミング」ではなく「仕組み」
多くの企業は、「人が辞めたから採用する」という考え方になっています。しかし、本来の採用はタイミングで動くものではありません。
日常的に情報発信を行い、接点を持ち、良い人がいれば採用する。この流れを作ることが重要です。
採用をイベントとして扱うのではなく、仕組みとして運用する。この発想の転換が必要です。
まとめ
緊急採用は、一見すると必要な対応に見えますが、実際にはミスマッチを生みやすい危険な状態です。
ペルソナを広げ、広告費をかけて短期間で採ろうとした時点で、採用の質は下がります。
重要なのは、常に採用できる状態を作っておくことです。ペルソナを絞り、発信を続け、「合う人」が来たときに採用する。この積み重ねが、結果として強い組織を作ります。
筆者プロフィール
泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー
姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。
「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。
支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。
生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。

