【姫路の経営者必読】民事裁判が「全面IT化」― 訴訟リスクが身近になった今、中小企業が備えるべきこと

【姫路の経営者必読】民事裁判が「全面IT化」― 訴訟リスクが身近になった今、中小企業が備えるべきこと

2026年5月25日




2026年5月21日、民事裁判の手続きが全面IT化されました。

訴状の提出、証拠のやり取り、判決の受け取りまで、すべてオンラインで完結できるようになりました。

「裁判なんて自分には関係ない」——そう思っている経営者ほど、この変化を見落としてはいけません。

訴訟のハードルが下がった今、未払い残業代・解雇・ハラスメントを巡るトラブルが、これまで以上に法的手段に発展しやすくなっています。


目次

  1. 民事裁判「全面IT化」で何が変わったのか
  2. 中小企業経営者が知るべき訴訟リスクの変化
  3. 訴えられやすくなる3つの場面
  4. 今すぐできる「訴訟リスクを下げる」備え
  5. よくある質問
  6. まとめ

民事裁判「全面IT化」で何が変わったのか

改正民事訴訟法が2022年に成立し、段階的に施行されてきた裁判のIT化が、2026年5月21日をもって完全に施行されました。

主な変更点は次の通りです。

  • 訴状のオンライン提出が可能に(弁護士はオンライン提出が義務化)
  • 証拠・準備書面のデジタル共有(紙での郵送が不要に)
  • 判決のオンライン受け取り(事前登録で電子送達)
  • 口頭弁論のウェブ参加(裁判所に出向かずに参加可能)

これまでは裁判を起こすとなると、弁護士に依頼して、書類を揃えて、裁判所の窓口に持参して——という物理的なハードルがありました。

そのハードルが大きく下がりました。インターネット環境があれば、自宅から訴状を提出できる時代になったのです。


中小企業経営者が知るべき訴訟リスクの変化

「訴訟は大企業の話」——これは過去の話です。

裁判のIT化によって、訴訟を起こすコストと手間が減りました。これは裏を返せば、労働者が会社を訴えやすくなったということです。

これまで「面倒だから」「会社との関係が続くから」と諦めていた労働者が、より手軽に法的手段を取れるようになりました。

特に姫路・播州エリアの中小企業では、従業員との距離が近い分、「まさかうちの社員が」と思いがちです。しかし、距離が近いからこそ、感情的なトラブルに発展するケースも少なくありません。

「泣き寝入り」が「訴訟」に変わる時代

退職した従業員が「残業代が未払いだった」「不当に解雇された」と気づいた時、これまでは「今更どうしようもない」と諦めるケースも多くありました。

しかしオンラインで訴状を出せるようになった今、退職後1〜2年経ってから突然請求が来る可能性が高まっています。


訴えられやすくなる3つの場面

① 未払い残業代

残業代の未払いは、労働基準法上の時効が3年に延長されています(2020年4月以降分)。つまり、過去3年分の残業代を一括請求される可能性があります。

「固定残業代を設定しているから大丈夫」という認識は危険です。固定残業代が有効とされるには、明示すべき要件を満たす必要があり、設計が不十分なケースが多く見られます。

② 解雇・雇止めトラブル

「試用期間中だから」「有期契約だから」という理由で、簡単に辞めさせられると思っている経営者は少なくありません。しかし、解雇・雇止めには法律上の厳しい要件があります。

手続きを踏まずに「今日で終わりで」と伝えた瞬間、それは訴訟の種になります。

③ ハラスメント

パワハラ・セクハラなどのハラスメントは、民事上の損害賠償請求の対象になります。「厳しく指導しただけ」「みんなそうやってきた」という感覚は通用しません。

特に退職後に訴訟に発展するケースが増えており、在職中は何も言わなかった従業員が辞めてから動くというパターンも珍しくなくなっています。


今すぐできる「訴訟リスクを下げる」備え

訴訟リスクを下げる方法は、難しいものではありません。基本的なことを正しくやり続けることです。

① 就業規則を最新化する

就業規則が古いままになっていませんか?法改正に対応していない就業規則は、会社側の主張が通りにくくなる原因になります。特に解雇・ハラスメント・懲戒に関する規定は定期的な見直しが必要です。

② 労働時間を正確に管理する

「うちは自己申告制だから」は、残業代トラブルの際に会社を守りません。タイムカードや勤怠システムで客観的な記録を残すことが、最大の防御になります。

③ 問題が起きた時の記録を残す

遅刻・欠勤・ミス・指導の経緯。これらを記録しておかないと、いざという時に「言った・言わない」の水掛け論になります。日常の記録が、訴訟の際の証拠になります。

④ 解雇・退職時の手続きを丁寧に行う

退職の際に感情的になってしまう経営者は多いです。しかし、退職時の対応が後々の訴訟リスクを大きく左右します。退職合意書の締結、離職票の適切な発行、未払い賃金の精算——これらを丁寧に行うことが重要です。


よくある質問

Q. 訴状をオンラインで出されたら、会社側はどう対応すればいいですか?

A. 訴状が届いたら、まず答弁書の提出期限を確認することが最優先です。期限を過ぎると欠席裁判となり、原告の主張がそのまま認められる可能性があります。速やかに弁護士または社労士に相談し、対応方針を決めることをお勧めします。裁判のIT化により手続きはオンライン化されましたが、会社側の対応の重要性は変わりません。

Q. 少額の残業代請求なら、放置しても大丈夫ですか?

A. 放置は絶対にNGです。少額訴訟や労働審判など、手軽に使える制度が整っています。無視・放置すると会社側に不利な判決が出るだけでなく、遅延損害金が加算されます。また、他の従業員が同様の請求をするきっかけになるリスクもあります。


まとめ

民事裁判の全面IT化は、「訴訟を起こす側」だけでなく「訴えられる側」にとっても大きな変化です。

中小企業経営者が今すべきことは、シンプルです。

  • 就業規則を最新の状態に保つ
  • 労働時間を正確に記録する
  • 問題のある言動・指導の経緯を記録する
  • 退職時の手続きを丁寧に行う

「訴訟になってから考える」では遅いのです。日頃の労務管理が、最大の訴訟対策になります。

「これって違法?」「トラブルになる前に相談したい」——そのタイミングが一番大事です。
姫路の中小企業の現場を知る社労士が、一緒に整理します。


筆者プロフィール

泉 正道(Masamichi Izumi)
従業員100名以下の中小企業の伴走支援コンサルタント。C&Pいずみ社会保険労務士法人 代表。
採用定着士、特定社会保険労務士、生成AIアドバイザー。2026年5月現在、延べ100社以上の中小企業を支援。採用・定着・労務に関する相談は累計3,000件超(日々更新中)。

徹底的な伴走支援で、中小企業の採用定着を「仕組み化(内製化)」する事を得意とする。
商工会、商工会議所、大手生命保険会社でのセミナー講師など、精力的に「事例」中心の情報発信をし続けている。

姫路播州採用定着研究所
C&P社労士法人 公式サイト
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