「面接日程は決まったのに、当日になって来ない」
「前日まで連絡が取れていたのに、急に音信不通になる」
こうした“面接のドタキャン”に悩まされている企業は少なくありません。
この問題は、応募者のマナーや意識の低下だけが原因ではありません。
多くの場合、採用プロセスの設計そのものが、ドタキャンを招きやすい形になっていることが原因です。
ポイントはシンプルで、
応募者に「これは大切な約束だ」と思ってもらえているかどうか。
ここを押さえるだけで、面接のドタキャン率は大きく下がります。
目次
1. ドタキャンされる面接は「軽い約束」になっている
人は、
- どうでもいい約束
- 優先度が低い約束
ほど、簡単にキャンセルします。
面接がドタキャンされるとき、応募者の中では、
その面接が「軽い予定」扱いになっているケースがほとんどです。
・一度も話したことがない
・会社の人間関係が見えない
・自分が歓迎されている実感がない
この状態では、体調不良や別の予定が入っただけで、
面接は後回しにされます。
2. 事前に電話でコミュニケーションを取る
ドタキャンを防ぐ最も効果的な方法は、
事前に電話でしっかり話すことです。
この電話の目的は、選考ではありません。
- 応募してくれたことへのお礼
- どんな点に興味を持ったのかを聞く
- 会社や仕事の概要を丁寧に伝える
これだけで、応募者の中で
「顔の見えない会社」→「人がいる会社」
に変わります。
人は、
実際に会話した相手との約束は、簡単には破りません。
3. 電話をするのは「対話に自信がある人」
ここで非常に重要なのが、
誰がその電話をするかです。
よくある失敗が、
「総務や事務に、とりあえず連絡させる」
という対応です。
- 事務的なやり取りだけで終わる
- 熱量が伝わらない
- 「大切にされている感」が出ない
という結果になりやすくなります。
理想は、
社長、または現場のエースなど、対話に自信がある人が直接話すこと
です。
応募者は、
「この人ともう一度話したい」
「この人との約束なら守ろう」
と感じたとき、面接を優先します。
4. 「あなたに会いたい」というメッセージを伝える
事前電話で必ず伝えたいのが、
「数ある応募の中から、あなたに興味を持った」
という事実です。
これは、過度に持ち上げる必要はありません。
ただ、
- どの点に関心を持ったのか
- どんな部分を聞いてみたいのか
を具体的に伝えるだけで十分です。
この一言があるかないかで、
面接は
「ただの予定」→「自分が必要とされている場」
に変わります。
5. 面接官の「顔」を事前に見せる工夫
さらにドタキャンを減らすために、
少し踏み込んだ工夫をしている企業もあります。
それが、
「私が面接官です」という3分程度の動画を作り、URLを送る
という方法です。
やり方はとてもシンプルで、
- 自己紹介
- どんな想いで採用をしているか
- 当日の面接で話したいこと
を、スマホで撮影し、YouTubeなどに限定公開でアップします。
この動画を見ることで、応募者は
- 面接官の人柄
- 話しやすさ
- 会社の温度感
を事前に感じ取れます。
結果として、
「この人との約束をすっぽかすのは気が引ける」
という心理が自然に働きます。
6. 面接は「選ぶ場」ではなく「約束の場」
面接を、
「会社が応募者を選ぶ場」
とだけ捉えていると、ドタキャンは減りません。
面接は同時に、
「お互いが時間を確保して会う、大切な約束」
です。
その約束を重くするために、
- 事前に話す
- 人柄を見せる
- 歓迎していることを伝える
この積み重ねが必要になります。
まとめ:ドタキャン防止のカギは「人と人の関係づくり」
面接のドタキャンは、
テクニックだけで完全になくすことはできません。
しかし、
「この会社との面接は、大切な約束だ」
と思ってもらえるプロセスを作れば、
発生率は確実に下げられます。
・事前に電話で話す
・対話に自信がある人が対応する
・面接官の顔や想いを見せる
これらは、特別なコストをかけずにできる工夫です。
採用は、
仕組みの前に人と人の関係づくり。
この視点を持つだけで、
面接の質も、来てくれる人の本気度も、大きく変わります。
筆者プロフィール
泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー
姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。
「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。
支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。
生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。

