姫路の中小企業経営者へ——2026年最低賃金引き上げ、今から備えるべきこと

姫路の中小企業経営者へ——2026年最低賃金引き上げ、今から備えるべきこと




毎年秋、最低賃金が改定されます。2025年は全国加重平均1,055円となり、兵庫県は1,052円に引き上げられました。そして2026年も、さらなる引き上げが見込まれています。

政府は2030年代半ばまでに最低賃金1,500円を目指すとしています。今の1,050円台から1,500円は、約43%の上昇です。あと数年で、人件費の構造が大きく変わります。

「今年また上がるのか」と毎年受け身で対応するのではなく、中長期的な視点で経営の仕組みを変えていく必要があります。今回はその準備を具体的にお伝えします。


目次

  1. 最低賃金引き上げの現状と今後の見通し
  2. 中小企業への影響——パート・アルバイトだけの問題ではない
  3. 賃金の「圧縮」問題——正社員との差が縮まる
  4. 今から取り組むべき3つの対策
  5. 助成金・支援制度の活用も忘れずに
  6. よくある質問
  7. まとめ

最低賃金引き上げの現状と今後の見通し

最低賃金は毎年10月に改定されます。近年の引き上げ幅は年30〜50円台が続いており、2025年は過去最大水準の引き上げとなりました。

兵庫県の推移を見ると:

  • 2022年:961円
  • 2023年:1,001円(初の1,000円超え)
  • 2024年:1,052円
  • 2025年:1,052円(2024年10月改定後の水準)

政府が掲げる「2030年代半ばに1,500円」を達成するには、毎年50〜60円程度の引き上げが必要です。この流れは、労働力不足が続く限り止まりません。

重要なのは、「今年は何円になるか」を追いかけるのではなく、「これからどう経営するか」を考えることです。


中小企業への影響——パート・アルバイトだけの問題ではない

「最低賃金なんてうちにはパートが数人いるだけ」と思っていませんか。実はそうではありません。

影響①:パート・アルバイトの時給が直撃

最低賃金を下回ることは違法です。現在の時給が最低賃金を下回っていないか、毎年10月前に必ず確認が必要です。「去年確認したから大丈夫」は通用しません。

影響②:正社員の基本給にも波及する

最低賃金が上がると、パートの時給が正社員の時給換算に近づいてきます。「なぜ正社員なのにパートと変わらないのか」という不満が生まれます。正社員の基本給も連動して見直さなければ、モチベーション低下や離職につながります。

影響③:求人の競争力が下がる

周囲の企業が最低賃金に合わせて時給を上げる中、自社だけ据え置きでは応募が来なくなります。最低賃金は「下限」であり、競争力の基準ではありません。


賃金の「圧縮」問題——正社員との差が縮まる

最低賃金引き上げで深刻になるのが、「賃金の圧縮(コンプレッション)」問題です。

例えば、入社1年目の正社員の時給換算が1,200円、パート社員の最低時給が1,100円だとします。最低賃金が1,200円になると、正社員とパートの賃金差がほぼなくなります。

この状態で、正社員として責任を持って働く意味はどこにあるのか——正社員からそう思われたとき、組織は崩れ始めます。

最低賃金対応は「コスト問題」ではなく「評価・賃金設計の問題」として捉える必要があります。仕事の責任・スキル・貢献に応じた賃金体系を整えることが、この問題の本質的な解決策です。


今から取り組むべき3つの対策

① 賃金体系の整理と見直し

全従業員の時給換算を出し、最低賃金との差を確認する。そのうえで、正社員・パート・契約社員それぞれの賃金水準が「仕事の違い・責任の違い」を反映しているか見直してください。感覚や慣例で決まっていた賃金を、根拠のある体系に整える機会です。

② 生産性の向上で人件費増を吸収する

人件費が上がるなら、その分の売上・利益を増やすか、業務効率を上げるしかありません。無駄な作業の削減、生成AIや業務ツールの活用、作業手順の標準化など、生産性向上の取り組みを並行して進めてください。

③ 採用戦略の見直し——「時給」だけで戦わない

最低賃金が上がると、時給での競争はより激しくなります。時給だけで勝負しようとすると、体力のある大手に必ず負けます。「この会社で働く意味」「職場の雰囲気」「成長できる環境」など、時給以外の価値を求人でしっかり伝えることが競争力になります。


助成金・支援制度の活用も忘れずに

最低賃金引き上げに対応した中小企業向けの助成金があります。代表的なものが「業務改善助成金」です。

業務改善助成金は、最低賃金を引き上げた事業者が、生産性向上のための設備投資(機械・システム等)を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。賃金引き上げと設備投資をセットで行う会社には、ぜひ活用してほしい制度です。

申請には要件・手続きがありますので、早めに確認しておくことが大切です。


よくある質問

Q. 最低賃金を下回っていたことが後でわかった場合、どうなりますか?

A. 最低賃金法違反として、差額の支払いが必要になります。また、50万円以下の罰金が科せられる場合があります。「知らなかった」は免罪符になりません。毎年10月の改定後は必ず全従業員の時給を確認してください。

Q. 固定残業代を含む月給制の場合、最低賃金との比較はどう行いますか?

A. 月給制の場合は、基本給や各手当を時間換算して比較します。固定残業代(みなし残業代)は最低賃金の比較対象から除外されることに注意が必要です。計算方法が複雑な場合は専門家に確認することをお勧めします。


まとめ

最低賃金の引き上げは、毎年10月に必ずやってくる現実です。毎年「また上がった」と慌てる経営を続けるのか、今から賃金体系・採用戦略・生産性を見直して備えるのか——この差が、数年後の経営の安定に大きく影響します。

賃金引き上げは、従業員の定着にもつながります。お金だけで人は動きませんが、納得できる賃金がなければ人は離れます。最低賃金対応を「コスト」ではなく「投資」ととらえてください。

「これって違法?」「トラブルになる前に相談したい」——そのタイミングが一番大事です。
姫路の中小企業の現場を知る社労士が、一緒に整理します。

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