ハローワーク頼みを卒業する——姫路の中小企業が取り組むべき採用チャネルの分散戦略

ハローワーク頼みを卒業する——姫路の中小企業が取り組むべき採用チャネルの分散戦略

2026年6月10日




「半年、ハローワークに出し続けているのに、まともな応募が来ない」

姫路の建設業者からの相談です。話を聞くと、ハローワークの無料掲載と、地域の有料広告に費用を払いながら、ほぼ応募ゼロの状態が続いていました。

でも正直に言います。問題はチャネルの数ではありませんでした。原稿の中身と、チャネルの選び方にありました。

今日は、この実例をもとに「ハローワーク一本に頼ることの危険性」と「採用チャネルを分散するために本当に必要なこと」をお伝えします。


目次

  1. ハローワーク一本は「危険」と言い切る理由
  2. 姫路の建設業者に何が起きていたか——実例の解剖
  3. 「魚のいる場所を複数知っておく」採用チャネルの考え方
  4. 12ヶ月で71名応募——実際に変えたこと
  5. まとめ:チャネルより先に「誰に・何を・どう伝えるか」を整える

ハローワーク一本は「危険」と言い切る理由

ハローワークが悪いわけではありません。無料で使え、地元の求職者にリーチできる。活用する価値は十分あります。

ただ、ハローワーク一本に頼ることには、明確なリスクがあります。

  • 求職者層が偏る:ハローワークを利用する求職者層は特定の年齢・状況に偏りやすい。「あなたが採りたい人」がそこにいるとは限らない
  • 競合他社に埋もれる:同業他社も同じページに掲載されている。差別化が難しく、見てもらえない
  • 原稿の表現が制限される:ハローワークは掲載ルールが厳しく、刺さる表現を使いにくい。結果、どこかで見たような無難な文章になりやすい
  • 1チャネル依存の脆弱性:そのチャネルの状況が変わると、採用活動が止まる。分散していない構造そのものがリスク

半年応募ゼロという状況が続いているなら、同じことをもう半年続けても結果は変わりません。何かを変える必要があります。


姫路の建設業者に何が起きていたか——実例の解剖

先ほど紹介した建設業者の求人原稿を見たとき、問題は一目でわかりました。

求職者の目線が、まるでなかったのです。

  • 「やりがいのある仕事です」「アットホームな職場」——どこかで見たような文言ばかり
  • 仕事内容が漠然としている——「現場作業全般」では何をするのかイメージができない
  • ハローワークと有料広告で労働条件が違う——媒体ごとに内容が異なり、信頼性を下げていた

応募がないのは、チャネルが少ないからではありませんでした。「誰に、何を伝えるか」が整っていなかったから。有料広告にお金を払っていても、効果が出ないのは当然でした。

また、採用しても早期退職が続いていたのも、原稿と実態の乖離が原因の一つでした。「思っていた仕事と違う」——それが入社後に発覚すれば、どんな会社でも定着しません。


「魚のいる場所を複数知っておく」採用チャネルの考え方

採用チャネルは、釣り場に例えるとわかりやすい。

同じ場所に同じ仕掛けを投げ続けても、魚がいなければ釣れません。魚のいる場所を知り、その場所に合った仕掛けを使う。それが採用チャネルの分散戦略の本質です。

主な採用チャネルを整理すると、こうなります。

  • ハローワーク:無料・地域密着・中高年層に強い。ただし表現の自由度が低い
  • 大手の求人検索サイト / 求人ボックス:検索型求人。幅広い年齢層にリーチでき、原稿の自由度が高い。費用対効果が出やすい
  • リファラル(社員紹介):コストがほぼゼロ。「この会社で働くのを誰かに紹介できるか」が文化の指標にもなる
  • 自社SNS・採用ページ:会社の日常・文化を伝えられる。長期的なブランディングになる

「どれが正解か」ではなく、「ハロワ+もう1本を今日決める」ことがゴールです。完璧な分散を目指すより、まず選択肢を一つ増やすことから始めてください。


12ヶ月で71名応募——実際に変えたこと

先ほどの建設業者で、私が実際に行ったことをお伝えします。

まずやったのは、「理想の人物像の徹底的な見直し」です。「どんな人に来てほしいか」「どんな人が活躍しているか」を経営者と一緒に言語化しました。ここを曖昧にしたまま求人原稿を書いても、響かない文章しか生まれません。

次に、その人物像を念頭に置いた求人原稿を一から作り直しました。「この会社で働くとどんな1日を過ごすのか」「どんな人と一緒に仕事をするのか」——具体的なイメージが浮かぶ内容にしました。

チャネルは、ハローワークに加えて大手の求人検索サイトと求人ボックスを活用しました。

結果は、12ヶ月で71名の応募、5名を採用。事務職に至っては1ヶ月弱で20名超の応募が集まり、「良い人が多すぎて困った」と募集を途中でストップするほどでした。

チャネルを増やすことも大切です。でも、それ以上に「誰に・何を・どう伝えるか」を整えることが先です。原稿が変わらなければ、チャネルを増やしても同じ結果になります。


よくある質問

Q. 大手の求人検索サイトなどの有料掲載は、中小企業でも効果が出ますか?

A. 原稿の質と求める人物像が整っていれば、十分効果が出ます。逆に言えば、原稿が弱いまま有料掲載しても費用が無駄になります。まず原稿を見直してから、掲載を検討してください。

Q. リファラル採用はどうやって始めればいいですか?

A. まず社員に「紹介してくれたら感謝する、インセンティブも検討する」と伝えることから始めましょう。ただし、前提として「今いる社員が会社を誰かに勧めたいと思えるか」が問われます。社員が誇れる職場環境があってこそ、リファラルは機能します。


まとめ:チャネルより先に「誰に・何を・どう伝えるか」を整える

ハローワーク一本に頼ることは危険です。しかし、チャネルを増やせば解決するというわけでもありません。

「誰に・何を・どう伝えるか」が整っていなければ、どのチャネルに出しても同じ結果になります。

まず理想の人物像を言語化し、その人に刺さる原稿を作る。そのうえで、適切なチャネルを選ぶ。この順番が大切です。

「応募が来ない」「採用できない」と感じているなら、ぜひ当社にご相談ください。原稿の見直しから採用の仕組みづくりまで、一緒に取り組みます。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。