2026年6月30日、日本対ブラジル。
試合を前に、ブラジルのメディアがこんな報道をしました。「日本よ、かかってこい」。
正直、ちょっとムカっとしませんでしたか(笑)。私はしました。でも同時に、それだけの実力と自信に裏打ちされた言葉だということも、わかる。「かかってこい」と言えるのは、準備ができているチームだけです。
では、あなたの会社はどうでしょうか。
競合他社に「かかってこい」と言えますか?採用市場で大企業に「かかってこい」と言えますか?同業に「うちの社員を引き抜いてみろ」と言えますか?
今回は、「かかってこい」と言える組織と、そうでない組織の差を考えてみます。
目次
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「かかってこい」とは、どういう状態か
「かかってこい」というのは、強がりではありません。
「来られても大丈夫」という状態のことです。
競合に価格競争を仕掛けられても、揺るがない。採用市場で大企業と戦っても、選んでもらえる。同業他社が高い給料で社員を引き抜こうとしても、誰も動じない。
こういう状態を「かかってこい」と呼んでいます。
逆に「かかってこられると困る」状態とはどんな会社か。価格を下げないと顧客が逃げる。採用で応募が来ない。社員を「辞めないでくれ」とつなぎとめることしかできない。
この差は、どこから来るのか。私は「採用と定着」にあると思っています。
採用で「かかってこい」と言えますか?
中小企業の採用担当者から、よくこんな声を聞きます。「大企業には給料で勝てないので…」「知名度がないから応募が来なくて…」。
気持ちはわかります。でも、それは「かかってこられたくない」という姿勢です。
採用で「かかってこい」と言える会社は、給料や知名度で戦っていません。「うちで働くことの意味」で戦っています。
「社長と距離が近い」「自分の仕事が会社の業績に直結している実感がある」「成長できる環境がある」「休みが取りやすい」——こういう、大企業では逆に難しいことを、正直に、具体的に伝えられる会社は、採用で強い。
日本代表も、個の技術ではブラジルに勝てない。でも「チームで戦う」「全員が走り続ける」という独自の強みで勝負しています。採用も同じです。大企業と同じ土俵で戦わなくていい。自分たちの土俵を作れば、「かかってこい」と言えます。
定着で「かかってこい」と言えますか?
採用よりもっと大事なのが、定着での「かかってこい」です。
同業他社が高い給料で社員を引き抜こうとしてきたとき、あなたの会社はどうなりますか?
「うちの社員は絶対に動かない」と言える会社と、「正直、怖い」という会社。この差は何か。
お金だけで会社につなぎとめている会社は、お金で負けたら社員が動きます。でも、「この会社で働く理由」が給料以外にある社員は、少し高い給料では動きません。
「この仕事が好き」「このチームが好き」「この会社の方向性に共感している」「社長を信頼している」——こういう理由で残っている社員が多い会社は、引き抜きにも、景気悪化にも、揺るがない。
定着力のある会社は、「離職を防ごうとしているのではなく、残りたいと思える会社を作っている」のです。
「かかってこい」組織を作る2つの柱
「かかってこい」と言える組織を作るために必要なのは、2つの柱です。
ハード(仕組みと制度):就業規則、評価制度、給与体系、採用基準。「なぜうちで働くのか」「どうすれば評価されるのか」が明確な会社は、社員が安心して働けます。ここが曖昧だと、優秀な人ほど不安になって辞めていきます。
ソフト(対話と関係性):1on1、感謝の言葉、社員の話を聞く文化、経営者が現場に出ること。仕組みがあっても、人間関係が冷えている会社は長く続きません。逆に、人間関係が良くても、仕組みがなければ「なんとなく良い職場」止まりで、成長できない。
この2つが揃ったとき、会社は「挑まれても揺るがない」状態になります。
日本代表も、戦術(ハード)と選手同士の信頼関係(ソフト)が噛み合ったとき、強豪に勝てる。会社も同じです。
まとめ
「かかってこい」とは、強がりではありません。
競合に価格で来られても、採用で大企業に来られても、社員を引き抜かれそうになっても——「来られても大丈夫」という状態を作ること。それが本当の組織の強さです。
そのために必要なのは、仕組み(ハード)と対話(ソフト)の両輪。どちらかだけでは足りません。
「うちの会社、かかってこいと言えるか?」と自問してみてください。もし不安があるなら、ぜひ当社にご相談ください。
よくある質問
Q. 給料を上げれば定着しますか?
A. まず大前提として、地域や業界の相場より大きく下回っているなら、戦いはかなり厳しい。ここは避けて通れません。
そのうえで言うと、給料を上げることは短期的には効果があります。ただし、「給料だけ」で残っている社員は、より高い給料が来たら動きます。給料は「残らない理由をなくす」ことはできますが、「残りたい理由を作る」のは別の話です。
「この会社で働く理由」が給料以外にも複数ある状態——それが本当の定着力であり、「かかってこい」と言える組織の条件です。
Q. 採用で大企業に勝てる気がしません。どこから変えればいいですか?
A. まず、「大企業と同じ土俵で戦わない」と決めることです。給料・知名度・福利厚生で比べたら勝てない。でも、「社長との距離感」「仕事の裁量」「成長スピード」「地域密着」などは、中小企業のほうが圧倒的に有利な部分です。
参考までに、当社(C&P社労士法人)の話をします。従業員の給料は、決して高くありません。
それでも、定着率は非常に高い。なぜか。士業事務所ではとても珍しい「完全テレワーク」を導入しているからです。必要がなければ自宅で仕事OK。お茶くみもさせない。残業もほぼゼロ。意味のない会議もやらない。
給料では勝てなくても、「働き方」で勝負できる。自社の強みを言語化して、それに刺さる人に届けるメッセージを作ること——これが「かかってこい」採用の第一歩です。
筆者プロフィール
泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー
姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。
「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。
支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。
生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。

