求人を出しても採用が安定しない会社に共通する「本当の原因」|姫路の採用定着士が解説

求人を出しても採用が安定しない会社に共通する「本当の原因」|姫路の採用定着士が解説



「求人を出しているのに、いい人が来ない。」

「やっと採用できたと思ったら、3ヶ月で辞めてしまった。」

「また求人を出して、また同じことの繰り返し…」

こんな相談を、経営者の方からよく受けます。採用がうまくいかないとき、多くの経営者は「どの媒体を使うか」「求人票の書き方が悪いのか」を考えます。しかし、本当の原因は、そこにはありません。

姫路の採用定着士として100社以上の中小企業を支援してきた経験から、採用が安定しない会社に共通する「構造的な問題」をお伝えします。


目次

  1. 採用費をかけても採用が安定しない本当の理由
  2. 「バケツの穴」はどこにありますか?
  3. 「反応型採用」から抜け出せない会社の特徴
  4. 採用を安定させるために整えるべき4つのポイント
  5. ハードとソフトの両輪で「採用の仕組み」を作る
  6. よくある質問
  7. まとめ

採用費をかけても採用が安定しない本当の理由

採用がうまくいかない会社の多くが、「どの媒体を使うか」「原稿をどう書くか」「予算をどれだけかけるか」で悩んでいます。

しかし、採用とは「集める→選ぶ→口説く→定着させる」という一連の流れ全体のことです。この流れのどこか一箇所でも欠けていれば、どれだけ広告費を使っても採用は安定しません。

たとえば、応募者が来ても面接で逃がしているなら、広告費を増やしても意味がありません。内定を出しても辞退が多ければ、面接の努力が無駄になります。採用できても入社後に辞めてしまうなら、採用コストは永遠に回収できません。

問題は「集める」の前工程ではなく、「選ぶ・口説く・定着させる」という後工程にあることが多いのです。


「バケツの穴」はどこにありますか?

採用を考えるとき、私がよく使う例え話があります。それが「バケツの穴」です。

穴の空いたバケツに、いくら水(採用費)を注いでも、永遠に満たされることはありません。まずやるべきことは、穴をふさぐことです。

採用の「穴」は、主に以下の4箇所に潜んでいます。

  • 面接の穴:面接が一方的な尋問になっており、候補者が「この会社は合わない」と感じて辞退している
  • 内定後の穴:内定を出した後に何もフォローせず、不安を抱えた候補者が他社に流れている
  • 入社直後の穴:入社後のフォロー体制がなく、「こんなはずじゃなかった」と90日以内に辞めていく
  • 求人の穴:誰でもいいような求人票になっており、ミスマッチな人材を引き寄せている

あなたの会社の「穴」はどこにあるか、心当たりはありますか?


「反応型採用」から抜け出せない会社の特徴

採用が安定しない会社のほとんどは、「今すぐ人が必要だから」という理由で採用活動を始めます。これを私は「反応型採用」と呼んでいます。

反応型採用の問題は、焦りから「誰でもいい」という意識になってしまうことです。採用基準があいまいになり、ミスマッチが起きやすくなります。そして採用した人が早期退職し、またすぐに採用活動が始まる——この悪循環を繰り返します。

反応型採用から抜け出すには、「準備の採用」という考え方が必要です。

準備の採用とは、3年後の経営目標から逆算して「今どんな人を採るべきか」を先に決めておく採用のことです。「人が足りなくなってから動く」ではなく、「必要な人材像を定義してから動く」。この発想の転換だけで、採用の質は大きく変わります。

反応型採用が続く会社の3つの共通点

  • 採用基準が文書化されていない(毎回担当者の感覚に依存)
  • どのポジションに何人必要かが経営計画と連動していない
  • 「辞めてから動く」が繰り返されており、常に欠員状態

これらに心当たりがあるなら、採用の「仕組み」を整える必要があります。


採用を安定させるために整えるべき4つのポイント

採用を安定させるには、「集める」だけでなく、以下の4つのポイントを整える必要があります。このシリーズでは、それぞれを詳しく解説していきます。

① 面接で候補者を逃がさない

面接は「選ぶ場」であると同時に、「会社を売り込む場」でもあります。候補者が「この会社で働きたい」と思える面接ができているか。ここが採用力の差を生む大きなポイントです。

② 内定後〜入社前のフォローを設計する

内定を出した後が勝負です。候補者は内定後も不安を抱えています。その不安を解消するコミュニケーションを設計することで、内定辞退を大幅に防げます。

③ 入社後90日の定着支援を仕組み化する

早期退職の多くは入社後90日以内に起きます。この期間に「安心・自信・定着」を積み重ねる仕組みを作ることが、採用コストの回収につながります。

④ 自社に合う人を引きつける求人を作る

求人票は「人を集める広告」ではなく、「自社に合う人を選ぶフィルター」です。誰でも来てほしい求人票より、ターゲットを絞った求人票の方が、採用後の定着率が高くなります。


ハードとソフトの両輪で「採用の仕組み」を作る

採用の仕組みを整えるとき、「ハード面」と「ソフト面」の両方に目を向ける必要があります。

ハード面(制度・仕組みの整備)

  • 採用基準の文書化
  • 面接マニュアル・評価シートの作成
  • 内定後フォローの手順化
  • 入社後オンボーディングの設計

ソフト面(関係性・コミュニケーション)

  • 候補者の不安に寄り添う面接の姿勢
  • 内定後の温かいフォロー連絡
  • 入社後の1on1と傾聴
  • 職場の心理的安全性

制度だけ整えても、人間関係が冷たければ定着しません。逆に、雰囲気が良くても評価や待遇が不満なら長続きしません。ハードとソフトの両輪を回すことが、採用を安定させる本質的なアプローチです。


よくある質問

Q. 仕組みを整える前に、今すぐ人が必要です。どうすればいいですか?

A. 緊急の採用ニーズがある場合は、短期の採用活動と並行して仕組みづくりを進めることをお勧めします。「今すぐ人が欲しい」という状況でも、面接の改善と内定後フォローだけは今日から始められます。完璧な仕組みを待つ必要はなく、できるところから一つずつ整えていきましょう。

Q. 採用担当者がいない小さな会社でも仕組み化できますか?

A. できます。むしろ採用担当者がいない会社こそ、仕組みが必要です。担当者の感覚に頼った採用は、その人が抜けた瞬間に機能しなくなります。チェックリストやテンプレートを使って「誰でも同じ品質でできる」状態を作ることが、小さな会社の採用安定への近道です。


まとめ

採用が安定しない本当の原因は、広告費でも求人票でもありません。採用の流れのどこかに「穴」があることが、ほとんどの場合の根本原因です。

まず「どこで人を失っているか」を特定する。そして面接・内定後フォロー・入社後定着という後工程を一つずつ整えていく。この積み重ねが、採用を安定させる唯一の道です。

「採用がうまくいかない理由を一緒に整理したい」という方は、ぜひ当社にご相談ください。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。