経験者と未経験者を1本の原稿で募集していませんか|姫路の採用定着士が伝える、求人原稿を分けると応募の質が変わる理由

経験者と未経験者を1本の原稿で募集していませんか|姫路の採用定着士が伝える、求人原稿を分けると応募の質が変わる理由

先日、姫路市内でデイサービスを3か所運営している会社の人事担当者さんと、求人原稿を見ながら打ち合わせをしました。介護職員を募集している原稿には、「経験者歓迎、未経験歓迎」の文字が並んでいました。

「どちらの方にも来てほしいので、1つの求人原稿にまとめて出しています」と人事担当者さんは言いました。この3か月の応募は、たった2件。そのうち1件は、面接の前日に辞退の連絡が来ました。人事担当者さんは、「原稿を直したいけれど、何が悪いのか分からない」と話しました。

私は、文章の上手い下手よりも先に、経験者と未経験者を混ぜて出している事が原因だろうと思いました。多くの企業がこの間違いを犯しますが、経験者と未経験者では、「刺さる言葉」が全く違います。両者に向けて書いた原稿は、結局、誰にも刺さらない原稿になります。

今日はそれについて、私の持論をお話しします。


目次

  1. 相談の概要
  2. 経験者と未経験者で知りたいことは違う
  3. 専門用語と給与の幅で起こる問題
  4. 原稿を分けると応募のずれが小さくなる
  5. 先に出す原稿の決め方
  6. よくある質問
  7. まとめ

相談の概要

この会社は、従業員が48名。デイサービスの介護職員が2名足りず、半年ほど前から求人サイトに有料の求人原稿を出していました。原稿は1本だけです。書かれていたのは、次のような内容でした。

  • 仕事内容:利用者さまの身体介助、レクリエーション、送迎の付き添い
  • 応募資格:経験者歓迎、未経験歓迎
  • 給与:月給19万円〜32万円
  • 賞与:年2回

担当者さんの気持ちは、とてもよく分かります。経験者が来てくれれば、すぐに現場に入ってもらえて助かります。でも、経験がなくても人柄が良ければ、育てる覚悟もある。だから「どちらでもどうぞ」と書いた。誰も除外しないための、優しさのつもりだったのです。

ところが、この優しさは応募者に伝わりません。応募する側には、「どちらでもどうぞ」が「あなたに来てほしい」とは読めないからです。


経験者と未経験者で知りたいことは違う

介護の経験が5年ある人が、求人原稿を読むときに探しているのは、自分の経験が何年分、給料に反映されるのか、資格を持っている人にどんな仕事を任せているのか、前の職場で任されていた仕事をここでも任せてもらえるのか、の3つです。

一方、介護の経験がない人が探しているのは、まったく別のことで、何も知らなくても教えてもらえるのか、資格は取れるのか、入社した最初の日に自分は何をするのか、です。経験のある人には関係のない、入社後の「最初の3か月」の話です。

求人原稿は、読む人が「これは自分のことだ」と思った瞬間にしか読まれません。経験者は、自分の知りたいことが書いていないので、「この会社は経験を評価してくれるのかな」と不安になります。未経験者は、「経験者歓迎」の文字を見て、「自分は歓迎されていないのかも」と感じて閉じてしまいます。1本にまとめた原稿は、両方の人を取りこぼすおそれがあります。ご自身の会社の求人原稿は、経験者と未経験者の、どちらの人に向けて書かれているでしょうか。


専門用語と給与の幅で起こる問題

原稿を2本に分けるべき理由は、専門用語と給与の幅にあります。まず、専門用語です。

経験者には、「ユニットケア」「喀痰吸引」「介護福祉士」と書けば通じます。ところが、未経験者はこれらの言葉を一つも知りません。専門用語が並んだ原稿を読んだ未経験者は、「自分には無理だ」と感じます。かといって、経験者に「介護とは、利用者さまのお世話をする仕事です」と説明すれば、「この会社は介護を分かっていないな」と思われます。同じ文章で、両方を満足させることはできません。

次に、給与の幅です。この会社の「月給19万円〜32万円」という書き方は、13万円もの開きがあります。経験者は「自分は32万円に近いのか、19万円に近いのか」が分からず、不安になります。未経験者も、自分がいくらから始まるのかが分からず、「結局、自分はいくらもらえるのか」と迷います。幅の広い原稿は、誰にとっても自分の給料が見えない原稿です。

たとえば、分けるとこうなります。

  • 未経験者向け:月給19万5,000円〜。資格は入社後に取れます。入社後3か月は先輩と2人1組で動きます
  • 経験者向け:月給24万円〜。経験年数と資格で上がります。送迎の付き添いだけでなく、個別機能訓練の補助まで任せます

給与の出発点がはっきりして、書く内容も変わります。この2本なら、それぞれの読み手が「自分のことだ」と思えます。


原稿を分けると応募のずれが小さくなる

求人サイトが、どの求職者にどの原稿を見せているのかは、外からは見えません。ですから、断言はできません。ただ、私が支援している会社を見ていると、1本にまとめた原稿より、経験者向けと未経験者向けに分けた原稿のほうが、応募してくる人の経験の有無がそろう印象があります。未経験者向けの原稿には未経験者の応募が来て、経験者向けの原稿には経験者の応募が来ます。

応募の数が増えるかどうかは約束できませんが、来てほしい人と、実際に来る人のずれは小さくなると感じています。「思っていた仕事と違った」という行き違いも、減らせると考えています。


先に出す原稿の決め方

分けるといっても、2本を同時に出す必要はありません。先に出す1本は、今働いている人のうち、入社時に未経験だった人と経験者のどちらが多いかで決めます。この会社の人事担当者さんと一緒に数えてみると、介護職員36名のうち、入社時に経験があった人は9名。残りの27名は、未経験で入った人でした。

それなら、先に出すのは未経験者向けの原稿です。この会社には、未経験者を育てて定着させてきた実績があるので、それを原稿に書けば、応募を考えている人が「ここなら続けられそう」と思えます。経験者向けの原稿は、未経験者の応募の状況を見てから、あとで足せばよいのです。

私が支援している別の会社でも、同じ進め方をしています。まず未経験者向けの原稿だけを出して、応募の様子を見てから経験者向けを足す。求人サイトの掲載費は、原稿の本数に応じて増えることが多いので、今いちばん来てほしい人に向けた1本から始めるのが現実的です。


よくある質問

Q. 経験者と未経験者の原稿を2本に分けると、求人サイトの掲載費が2倍かかりませんか?

A. その可能性が高いですが、求人サイトや、採用を支援する会社によってルールが異なるので、ご確認ください。ただ、掲載費が2倍になるのを避けたくて、1つの原稿にまとめている会社が多いと、私は思っています。

Q. 未経験者向けの原稿に「経験者歓迎」と書かなければ、経験者は応募してくれなくなりますか?

A. 経験者からの応募は減ると思います。未経験者向けの文章で書いた原稿は、経験者が知りたいこと(給与の評価や任せる仕事の範囲)には答えていないからです。経験者にも来てほしい場合は、経験者向けの原稿を、別に1本書いてください。


まとめ

このデイサービスの会社には、原稿を2本に分けて、先に未経験者向けから出すことをお伝えしました。

「どちらの方でもどうぞ」は、優しさです。ですが、求人原稿での優しさは、「あなたに来てほしい」と、読む人に向けて言い切ることだと私は思っています。来てほしい人を決めた会社だけが、その人に届く原稿を書けます。いま出している求人原稿を、一度読み返してみてください。

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