採用した人が3ヶ月で辞めるのは「仕組みの問題」です|姫路の採用定着士が教える入社後フォロー

採用した人が3ヶ月で辞めるのは「仕組みの問題」です|姫路の採用定着士が教える入社後フォロー

2026年7月17日



「採用してすぐ辞めてしまった。」「入社3ヶ月で退職願が出た。」——こんな経験をした経営者の方から、よくこんな言葉を聞きます。「採用を失敗したのかな」「向いていなかったのかも」と。

しかし、早期退職の原因を「本人の資質」に求めてしまうと、同じことが繰り返されます。早期退職の多くは、入社後のフォロー体制がなかった——つまり、会社側の仕組みの問題です。

姫路の採用定着士として100社以上の採用支援をしてきた経験から、入社後90日間の設計がいかに重要か、そしてどう仕組み化するかをお伝えします。


目次

  1. なぜ「3ヶ月以内」に退職が集中するのか
  2. 入社後に新入社員が感じる2種類の不安
  3. 90日間を3フェーズで設計する
  4. 「仕組み化」しないと続かない理由
  5. ハードとソフトの両輪で「定着」を作る
  6. よくある質問
  7. まとめ

なぜ「3ヶ月以内」に退職が集中するのか

入社後90日以内の退職が多い理由は、この期間が「新入社員にとって最もストレスが高い時期」だからです。

新しい職場・新しい人間関係・新しい仕事のやり方——すべてが「初めて」の状態で、多くのことを同時に覚えなければなりません。その中で感じる疲弊感・孤独感・期待とのギャップが、退職の引き金になります。

特に多いのが、以下の3つのギャップです。

  • 仕事内容のギャップ:「聞いていた仕事と違う」「思っていたよりきつい」
  • 人間関係のギャップ:「雰囲気が思っていたより合わない」「誰も話しかけてくれない」
  • 成長実感のギャップ:「自分がここで活躍できる気がしない」「評価されているかわからない」

これらのギャップは、採用時の伝え方と入社後のフォローを適切に設計することで、大部分を防ぐことができます。


入社後に新入社員が感じる2種類の不安

入社直後の新入社員が感じる不安は、大きく2種類に分けられます。それぞれに異なるアプローチが必要です。

① 「わからないことがわからない」不安

業務の全体像が見えず、何を優先すればいいかわからない状態です。「こんなことを聞いていいのか」と萎縮してしまい、不安が内側に溜まっていきます。この不安には、業務の優先順位・評価基準・聞いていい雰囲気を明示することが有効です。

② 「ここに属せているのか」という不安

チームに溶け込めているか、歓迎されているか、自分の存在を認めてもらえているか——承認欲求が満たされないと、孤立感が募ります。特に入社後1ヶ月は、この感覚が強くなりやすい時期です。1on1や声かけなど、「あなたのことを気にかけている」というメッセージを意識的に送ることが重要です。


90日間を3フェーズで設計する

フェーズ1:入社〜30日(安心感を作る)

この時期のゴールは「この場所は安全だ」と感じてもらうことです。

  • 入社初日に丁寧なオリエンテーションを行う
  • 業務の優先順位・評価基準を明確に伝える
  • 週1回の1on1を設定し、困っていることを話せる場を作る
  • チームメンバーへの紹介・関係構築を意図的にサポートする

フェーズ2:31日〜60日(自信を育てる)

少しずつ仕事に慣れてくる時期。「できた体験」を積み重ねることが重要です。

  • できたことを具体的に言語化してフィードバックする
  • 小さな成功体験を作れる業務設計をする
  • 30日を振り返り、60日の目標をすり合わせる

フェーズ3:61日〜90日(定着の確認)

「この会社でやっていける」という自己効力感が芽生え始める時期です。

  • 90日間の振り返り面談を正式に実施する
  • 今後のキャリアイメージを共有する
  • 「この会社で成長できる」というビジョンを一緒に描く

この3フェーズをあらかじめ設計してマニュアル化しておけば、担当者が変わっても一定のクオリティで定着支援ができます。


「仕組み化」しないと続かない理由

「新入社員のフォローは大事だとわかっている。でも、日々の業務に追われてできていない」——こういう経営者・採用担当者は多いです。

これは意識の問題ではなく、仕組みがないからです。「気が向いたときにやる」「余裕があればやる」では、忙しい時期に必ず抜け落ちます。

入社後フォローを仕組み化するとは、

  • 「いつ・何をするか」をチェックリストで明文化する
  • 1on1の日程を入社前に先入れしておく
  • 振り返り面談のテンプレートを作っておく
  • 誰が担当するかを事前に決めておく

ということです。仕組みがあれば、忙しくても「やること」が明確です。仕組みがなければ、どんなに意識が高くても抜け落ちます。


ハードとソフトの両輪で「定着」を作る

入社後の定着支援も、ハード面とソフト面の両方が必要です。

ハード面(制度・仕組みの整備)

  • オンボーディングマニュアルの作成
  • 1on1・面談の仕組み化(日程・頻度・テンプレート)
  • 評価基準・期待値の明文化
  • 90日振り返り面談の設計

ソフト面(関係性・コミュニケーション)

  • 傾聴・承認を意識したコミュニケーション
  • 「あなたのことを気にかけている」という姿勢を言葉と行動で示す
  • 心理的安全性の高い職場をチーム全体で作る
  • 新入社員が「孤立していない」と感じられる環境づくり

マニュアルがあっても、上司の接し方が冷たければ定着しません。関係性が良くても、評価や業務の見通しが不明確では不安が消えません。ハードとソフトを両輪で回すことで、新入社員は「ここで頑張ろう」と思えるようになります。


よくある質問

Q. 忙しくて新入社員のフォローに時間が取れません。

A. まずは週1回15分の1on1から始めてみてください。「今週困っていることはありますか?」——この一言を聞くだけで、新入社員の不安は大きく変わります。完璧なフォロープログラムを用意しようとするより、小さく始めて継続することの方がはるかに効果的です。

Q. 採用してすぐ辞めた原因を、本人に聞いてもいいですか?

A. ぜひ聞いてください。「次の採用に活かしたいので、差し支えなければ退職の理由を教えてください」と丁寧に聞けば、多くの場合は答えてもらえます。その答えが、自社の「バケツの穴」の場所を教えてくれます。退職者のフィードバックは、採用改善の重要な情報です。


まとめ

採用した人が3ヶ月で辞めるのは、本人の問題ではなく、入社後のフォロー体制がなかったことが原因である場合がほとんどです。

採用して終わりではありません。定着するまでが採用です。入社後90日間を意図的に設計することで、早期退職は大幅に防ぐことができます。

「早期退職が続いている」「入社後のフォローを仕組み化したい」という方は、ぜひ当社にご相談ください。

筆者プロフィール

泉 正道(いずみまさみち)|特定社会保険労務士/採用定着士/生成AIアドバイザー

姫路を拠点に中小企業延べ150社以上へ伴走。採用・定着・労務の相談累計3,000件超(2026年6月現在)。北は福島、南は佐賀まで顧問先があり、全国オンライン対応。

「採用より定着が先」——これが口癖であり、信念。耳が痛くても言い続ける。親に与えてもらった環境や収入を「全て自分の力」と誤解する2代目社長に説教して解約された経験あり。それでも伝え続けるのが私の役目。

支援の軸は制度(ハード)と対話(ソフト)の両輪。就業規則や評価制度を整えるだけでも、研修や面談を繰り返すだけでも、人の問題は解決しない。両方が噛み合って初めて、人が辞めない組織が動き出す。伴走とダメ出しができる社労士。

生成AI支援では「研修を受けた企業の9割が1ヶ月後に何もしていない」という現実に向き合い、経営者のPCを直接触り、当日に課題を解決する「実装型」の伴走を展開。商工会・商工会議所・大手生命保険会社でのセミナー講師としても精力的に活動中。